ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=YGrtWaLa2Jw
確認した動画: aiko-『あした』music video(aikoOfficial公式)

大学受験に失敗して、予想通りではありましたが、浪人時代を大阪で過ごすことになりました。あの1年間は、決して楽しい記憶ばかりではありませんが、その中で初めて聞いた「あした」という曲は、今でも鮮明に耳に残っています。予備校の行き帰り、ラジオから流れてきたのか、友人が教えてくれたのか、正確なきっかけはもう思い出せません。それでも、あの浪人生活という、先の見えない不安な時期に、この曲のタイトルが持つ「あした」という言葉の響きが、妙に心に染み込んだことは覚えています。失敗を経験した直後の自分にとって、明日という言葉は、希望でもあり、同時に不安でもありました。この曲は、そのどちらの感情も否定せず、そっと寄り添ってくれる曲でした。

金曜日発売という、異例のデビュー

「あした」は、1998年7月17日にポニーキャニオンからリリースされた、aikoのメジャーデビューシングルです。この曲は、CDが多く発売される水曜日ではなく、オリコンチャートの集計上不利になるはずの金曜日発売という、異例の形でリリースされました。スポット契約であったため、こうした特殊なリリース形態になったといいます。作曲・編曲は小森田実(現・コモリタミノル)が手がけており、aikoの楽曲の中でも、本人以外が作曲を担当した唯一の曲として知られています。

タイアップとしては、全国東映系映画『新生トイレの花子さん』の主題歌、そしてYTV系『新橋ミュージックホール』のエンディングテーマとして使用されました。異例づくしのリリースでありながら、この曲がaikoというアーティストの、長く続くキャリアの第一歩になったことを思うと、始まりというものの持つ不思議な巡り合わせを感じます。

浪人時代という、先の見えない時間

浪人生活というのは、社会的にはまだ何者でもない、宙ぶらりんの時期です。同級生たちが大学生としての新しい生活を謳歌している一方で、自分だけがまだ受験勉強を続けている。あの疎外感と焦りは、経験した人にしか分からないものだと思います。それでも、あの1年間があったからこそ、大阪という土地で過ごした時間の記憶や、そこで出会った音楽が、今でも特別なものとして残っています。

「あした」という曲を聴くと、あの不安定な浪人時代の空気が、そのまま蘇ってきます。予想通りの失敗を経験し、それでも次の日を迎えなければならなかったあの日々。この曲のタイトルが持つ、明日への漠然とした期待と不安が入り混じった感覚は、まさにあの時期の自分の心境そのものでした。

磐田で振り返る、あの浪人時代

50代になった今、あの浪人時代を振り返ると、決して無駄な時間ではなかったのだと思えるようになりました。むしろ、あの1年間で得た忍耐や、失敗と向き合う経験が、その後の人生の土台になっている部分も多くあります。磐田で家や土地の相談を受けていると、人生の思い通りにならない時期を過ごしている方々によく出会います。そのたびに、あの浪人時代の記憶と、この曲を思い出します。

「あした」という曲は、失敗の直後に聞いたからこそ、今でも特別な意味を持ち続けています。予想通りの結果であっても、その先に続く明日を、この曲は静かに肯定してくれていたのだと、今になって思います。

ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、先の見えない時期を過ごした記憶を読み直す場所です。