ページ作成日: 2026年7月6日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=TcZG8k-3HiA
確認した動画: DEEN「瞳そらさないで」(DEEN Official YouTube Channel)

1994年6月22日に発売されたDEENの5枚目のシングル「瞳そらさないで」は、作詞・坂井泉水、作曲・織田哲郎、編曲・葉山たけしという顔ぶれで作られた。大塚製薬「ポカリスエット」のCMソングに起用され、一色紗英が出演したその映像とともに広く親しまれ、DEENにとって初のオリコン1位を獲得。デビュー曲に続く2作目のミリオンヒットとなった。夏の光を思わせる爽やかなサウンドと、まっすぐな言葉が重なり合い、季節を超えて愛される清涼感あふれる一曲になっている。

大石セレクション視点:歌詞がいい ★★★★★

  • 曲がいい:★★★★☆
  • 歌詞がいい:★★★★★
  • MVがいい:★★★☆☆

選定理由:この曲の作詞は、後にZARDとして時代を象徴する存在となる坂井泉水が手がけている。「瞳そらさないで」というタイトルに込められた、相手とまっすぐ向き合いたいという願いは、彼女の言葉ならではの透明感と誠実さを帯びている。織田哲郎の爽やかなメロディも見事だが、この曲を単なる夏のCMソングで終わらせず、深い余韻を残しているのは言葉の力だ。だからこそ、主視点を「歌詞がいい」に置いた。

坂井泉水という、稀有な作詞家

この曲の歌詞を書いた坂井泉水は、1993年にZARDとして「負けないで」を大ヒットさせ、90年代を代表するアーティストへと駆け上がっていた人物である。彼女は自身の曲だけでなく、他のアーティストへも詞を提供していた。「瞳そらさないで」もそのひとつだ。飾りすぎず、それでいて凛とした強さを秘めた言葉。日常の中の切実な想いを、誰の胸にも届く普遍性で描く。その筆致が、DEENの爽やかな楽曲に芯の通った説得力を与えている。

「そらさないで」という、静かな勇気

歌詞の全文引用は避けるが、「瞳をそらさないで」という願いには、恋のときめきだけでなく、逃げずに向き合いたいという静かな勇気が宿っている。人は、都合の悪いことや傷つきそうな瞬間から、つい目をそらしてしまう。それは恋愛に限らない。だからこそ、まっすぐ見つめ合ってほしいというこの言葉は、時に恋の歌を超えて、人と人が真剣に関わることの尊さを思わせる。断定はできないが、この曲はそんな普遍的なテーマとしても聴くことができるだろう。

ポカリスエットと、夏の記憶

この曲を語るとき、大塚製薬「ポカリスエット」のCMは切り離せない。一色紗英が出演した1994年のあの映像は、青い空と汗と、若さのまぶしさに満ちていた。清涼飲料水のCMソングというのは不思議なもので、曲そのものが季節や情景の記憶と分かちがたく結びつく。「瞳そらさないで」を聴くと、当時を知る人の頭には自然と夏の光景が広がる。音楽が、映像や季節と一体になって記憶に刻まれる——その好例のような一曲だ。

初のオリコン1位という、到達点

デビュー曲でミリオンを記録したDEENにとって、次に待っていたのは「では頂点に立てるのか」という問いだった。その答えが、この「瞳そらさないで」による初のオリコン1位である。デビューの勢いを一過性で終わらせず、確かな実力として証明してみせた。爽やかなサウンドの奥に、そうした静かな自信のようなものが感じられるのも、この曲の魅力かもしれない。勢いだけではたどり着けない頂点に、彼らは実力で立ったのだ。

まっすぐ向き合うことの難しさ

大人になるほど、人と正面から向き合うことは難しくなる。立場、遠慮、過去のわだかまり——目をそらす理由はいくらでも増えていく。介護や不動産の現場でも、ご家族の間で言いづらいことを、つい先送りにしてしまう場面に何度も出会ってきた。けれど、本当に大切なことほど、瞳をそらさずに向き合ったときにしか動かない。この曲のまっすぐな願いは、恋を越えて、そんな人生の真理にも触れているように思う。

夏の入口に、もう一度聴きたい

季節が初夏へ向かう頃、この曲は驚くほどよく似合う。爽やかなメロディと、まっすぐな言葉。聴いているだけで、少しだけ背筋が伸び、素直な気持ちを取り戻せる気がする。名曲というのは、こうして毎年めぐる季節とともに、何度でも新しく出会い直せるものだ。「瞳そらさないで」は、これからも夏の入口で、多くの人にそっと寄り添い続けるだろう。

ビーイングという工房が生んだ、爽やかさ

この曲もまた、作曲・織田哲郎、編曲・葉山たけしという、ビーイング黄金期の職人たちの手によるものだ。デビュー曲「このまま君だけを奪い去りたい」の熱いバラードとは対照的に、「瞳そらさないで」は夏の風のような爽やかさをまとっている。同じ作り手たちが、これほど異なる表情の名曲を次々と生み出していたことに、あらためて驚かされる。CMソングという役割を担いながら、単なる商業音楽で終わらず、一曲の作品として完成度が高い。売れることと良い曲であることを両立させた、当時のビーイングの底力が詰まっている。

爽やかさの奥にある、切実さ

この曲は、表面的には明るく爽やかなポップスとして響く。だが、繰り返し聴いていると、その明るさの奥に、相手を失いたくないという切実さがひそんでいることに気づく。「そらさないで」という願いは、裏を返せば、目をそらされてしまうかもしれないという不安の裏返しでもある。爽やかなメロディだからこそ、その切なさが押しつけがましくならず、静かに胸に残る。楽しげな音の中に、ふと本音がのぞく。名曲と呼ばれるポップスには、しばしばこうした二重の表情が隠されている。

CMソングという、記憶の残り方

1990年代は、CMソングが国民的なヒットを生む時代だった。テレビから何度も流れる15秒や30秒の映像とともに、曲は人々の日常に溶け込み、気づけば口ずさめるようになっていた。「瞳そらさないで」も、まさにそうして多くの人の記憶に刻まれた一曲だ。当時を過ごした人にとって、この曲のイントロが流れた瞬間に、あの夏の光や、テレビの前で過ごした何気ない時間までもがよみがえる。音楽は、単独で記憶されるだけでなく、その頃の生活の匂いごと、まるごと心に残る。CMソングという形は、そうした記憶の残り方の、もっとも幸福な例のひとつだったのかもしれない。今のように自分で選んで聴くのではなく、向こうから流れてきて、いつの間にか好きになっていた。そんな出会い方をした曲は、理屈を超えて心の深いところに根を下ろしている。「瞳そらさないで」は、まさにそういう一曲だ。

参考リンク

大切なことほど瞳をそらさずに向き合いたいように、家や土地の問題も、先送りにせず一度きちんと向き合うことで道が見えてきます。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。