ページ作成日: 2026年7月5日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=VcEP7IcJJHs
確認した動画: DREAMS COME TRUE「笑顔の行方」(DREAMS COME TRUE Official YouTube Channel)

「笑顔の行方」は、1990年2月10日にリリースされた、DREAMS COME TRUEの5枚目のシングルだ[1]。この曲は、ベーシストの中村正人が作曲した楽曲が初めてシングルの表題曲として起用された、記念すべき一曲であり、同時にグループにとって初めてのテレビドラマとのタイアップ曲でもある[1]

大石セレクション視点:曲がいい ★★★★☆

  • 曲がいい:★★★★☆
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★★☆☆

選定理由:中村正人という作曲家が、初めて自分の楽曲をシングルの表題曲として世に問うたという記念碑的な一曲でありながら、その完成度の高さは、後にDREAMS COME TRUEを代表する数々の名曲へとつながっていく才能の萌芽を、すでに確かに感じさせる。バンド初期のこうした挑戦の記録に、主視点を置きたい。

中村正人という作曲家の、最初の到達点

DREAMS COME TRUEは、ボーカルの吉田美和、ベースとプロデュースを手がける中村正人、キーボードの西川隆宏という編成で活動してきたバンドだ。多くの楽曲で作曲を手がけてきた中村正人にとって、この曲は、自身の作品が初めてシングルの表題曲に選ばれるという、キャリア上の重要な節目だった[1]。バンド内での作曲家としての地位を確立していく、その最初の到達点として、この曲は特別な意味を持っている。

グループ初のドラマタイアップという、新しい扉

この曲がグループにとって初めてのテレビドラマタイアップだったという事実は[1]、DREAMS COME TRUEがより幅広いメディア展開へと歩みを進めていく、その第一歩を記録している。音楽番組やライブだけでなく、テレビドラマという異なるメディアとの連携を経験することで、バンドはより多くの層にリーチする方法を学んでいったのだろう。この曲が切り拓いたタイアップという手法は、その後のバンドの活動においても、重要な役割を果たし続けることになる。

「笑顔の行方」という、消えゆくものへの問い

歌詞をそのまま引用することは控えるが、「笑顔の行方」というタイトルは、一度浮かんでは消えていく表情の儚さと、それでも何かが残るのではないかという静かな問いかけを内包している。人は誰かと過ごした時間の中で、数え切れないほどの笑顔を交わすが、その一つひとつは記録されることなく過ぎ去っていく。この曲は、そうした消えていく瞬間の尊さと、それでも心のどこかに残り続ける記憶の在り方を、丁寧に見つめている。

デビュー初期の挑戦が、後の飛躍を支えた

1990年という、まだデビューから日の浅い時期にリリースされたこの曲は、後にバンドが「LOVE LOVE LOVE」のような国民的なヒット曲を生み出していく前段階の、重要な積み重ねのひとつだ。作曲家としての中村正人の才能が開花し、タイアップという新しい表現の場を経験したこの時期があったからこそ、その後の大きな飛躍が可能になったのだろう。

三人組バンドという、対等な創作関係

吉田美和、中村正人、西川隆宏という三人組で活動してきたDREAMS COME TRUEにとって、ボーカルだけでなく、演奏メンバーの創作力もバンド全体の魅力を支える重要な要素だ。この曲を通じて中村正人の作曲家としての才能が広く認められたことは、バンド内でのそれぞれの役割がより明確に、そして対等に発揮される土台を作ったのではないかと想像する。

初期作品を今、あらためて聴き直す価値

後年の大ヒット曲と比較すると、この曲はやや控えめな存在として語られることが多いかもしれない。しかし、バンドの歴史を丁寧に辿るとき、この初期の一曲が持つ意味は決して小さくない。作曲家としての中村正人の第一歩、そしてドラマタイアップという新しい表現の場への挑戦。この二つの記念碑的な要素を併せ持つこの曲は、DREAMS COME TRUEというバンドの成長の軌跡を知る上で、欠かせない一曲だ。

1990年という、平成初期の音楽シーン

1990年という年は、昭和から平成へと時代が移り変わったばかりの時期であり、日本のポップスシーンもまた新しい時代への転換期を迎えていた。そうした時代の空気の中でリリースされたこの曲は、DREAMS COME TRUEというバンドが、これから平成という新しい時代を代表する存在へと成長していく、その最初の足跡のひとつとして位置づけられる。

タイトルに込められた、儚さと希望の両立

「笑顔の行方」という言葉は、笑顔が消えていくことへの一抹の寂しさと同時に、その行方を追い求めようとする、かすかな希望も同時に含んでいる。ただ諦めて終わるのではなく、消えていくものの行き先を問い続けるという姿勢は、この曲全体に漂う、静かな前向きさを支えている。

デビュー間もない時期の、初々しい挑戦

DREAMS COME TRUEがデビューを果たしたのは1988年のことであり、この曲はそのわずか2年後、1990年にリリースされている。バンドとしてまだ経験の浅い時期に、新しい作曲家の才能を試し、新しいメディアとの連携にも挑んだこの一曲には、若さゆえの初々しい挑戦心が確かに宿っている。後年の円熟した楽曲群と聴き比べると、この時期特有の瑞々しさが、あらためて感じられる。

吉田美和という表現者の、初期の輝き

デビューから間もないこの時期の吉田美和の歌声には、後年の円熟した表現力とはまた違う、若さゆえの直向きさとひたむきさが感じられる。「笑顔の行方」という、ある種の哲学的な問いを扱うこの曲を、まだ若かった彼女がどのように解釈し、歌い上げたのか。その過程を想像しながら聴くことで、この曲の味わいはより一層深まっていく。

今もなお続く、バンドの歩みの原点として

この曲がリリースされてから、DREAMS COME TRUEは数え切れないほどの名曲を世に送り出し、日本を代表するバンドのひとつへと成長していった。その長い歴史を振り返るとき、この初期の一曲は、単なる過去の記録ではなく、今も続くバンドの歩みの、確かな出発点として輝き続けている。デビューから数十年を経た今、あらためてこの曲に立ち返ることで、バンドが歩んできた道のりの豊かさを、より深く、そして静かに味わうことができる。初めの一歩を確かに踏み出したこの曲があったからこそ、今のDREAMS COME TRUEがあるのだと思う。

参考リンク

消えていく瞬間の中にも残るものがあるように、住まいの記憶にも、時を経てなお心に残り続ける大切さがあります。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。