「Squall」は、1999年11月17日発売のシングル「HEAVEN/Squall」に収録された楽曲だ。初週売上12万3480枚でオリコン2位に初登場し、5週目にはついに1位を獲得している。実はこの曲、もともとは福山雅治が松本英子に提供した楽曲であり、このシングルは福山雅治自身によるセルフカバーというかたちで世に出された。編曲は富田素弘。作詞・作曲は福山雅治自身が手がけている。今回参照した動画は、福山雅治にとって初のアジア公演となった「WE'RE BROS.TOUR 2014 in ASIA」からのライブ映像である。
誰かに贈った曲を、自分で歌うということ
「Squall」は、もともと福山雅治が松本英子というアーティストのために書き下ろした楽曲だったとされる。それを自らセルフカバーするかたちでシングルに収めるという選択は、単なる曲の使い回しではなく、この曲が持つ音楽的な強さへの、作り手自身の確信を物語っている。編曲は富田素弘が手がけ、両A面のもう一曲「HEAVEN」は佐橋佳幸の編曲によるものだった。1990年代後半、福山雅治のシングルが安定してヒットを続けていた時期に生まれたこの曲は、初週オリコン2位からじわじわと順位を上げ、5週目には1位を獲得するという、時間をかけて多くの人に届いていった記録を残している。
スコールという言葉が象徴するもの
タイトルの「Squall」は、熱帯地方などで見られる、前触れなく降り出す激しい夕立のことを指す言葉だ。歌詞を丸ごと引用することは避けるが、この曲が描いているのは、そんな急な雨のように、ある日突然襲ってくる感情の激しさや、そこに伴う切なさなのだと感じられる。じわじわと積み重なるのではなく、ある瞬間に一気に押し寄せてくる感情。恋愛における衝動的な高まりや、避けられない別れの予感を、天候の急変というイメージに重ねる比喩の選び方が、この曲のタイトルの巧みさだ。
25年近く歌い継がれる、ライブの定番曲
今回取り上げた動画は、2014年に行われた福山雅治にとって初のアジア公演「WE'RE BROS.TOUR 2014 in ASIA」からのライブ映像である。台湾・台北アリーナでは約1万2000人を動員、香港でも公演が行われたこのツアーは、同年国内で行われた初のドームツアー「WE'RE BROS.TOUR 2014 HUMAN」に続くかたちで開催されたものだ。「Squall」はこのアジア公演のセットリストにも組み込まれており、1999年の発売から15年近く経った時点でも、変わらずライブの重要な一曲として演奏され続けていたことがわかる。それから10年以上を経た今もなお、この曲がファンの間で愛され続けているという事実は、楽曲そのものの強度の高さを何より雄弁に物語っている。
初のアジア公演という節目
「WE'RE BROS.TOUR 2014 in ASIA」は、福山雅治にとって記念すべき初のアジア公演だった。国内のドームツアーで50万人という大きな動員を記録した後、その勢いを持って海外の観客の前に立つという挑戦は、キャリアの新しい一章を開く出来事だったはずだ。そのステージで、デビュー間もない頃の楽曲ではなく、1999年発売という、すでに一定のキャリアを重ねた時期の「Squall」が歌われていたことは、この曲が福山雅治というアーティストを象徴する一曲として、時代を超えて選ばれ続けてきたことを示している。
提供曲をセルフカバーするということ
作曲家やシンガーソングライターが、自分以外のアーティストのために書いた楽曲を、後になって自らの声で歌い直すという例は、音楽の世界において決して少なくない。しかしそれを単なる「掘り起こし」で終わらせず、シングルの顔となる楽曲として本格的に世に問うという判断には、その曲への強い自負が必要になる。「Squall」がまさにその例であり、もともと松本英子という別のアーティストの持ち歌として生まれた楽曲を、福山雅治自身が改めて歌い直すことで、この曲は二重の人生を歩むことになった。誰かのために書いた曲が、書いた本人の代表曲として定着していくという巡り合わせも、この曲の物語の一部として興味深い。
感情はいつも、前触れなく訪れる
東京で働いていた頃、突然の感情の高ぶりに戸惑うことがよくあった。仕事の忙しさに追われる中で、ふとした瞬間に、抑えていたはずの感情が一気にあふれ出す。まさにスコールのような、予測できない天候の変化に似た感覚だった。「Squall」を聴くと、そうした制御できない感情の動きを、責めるのではなく、そういうものだと受け入れる強さをもらえる気がする。
磐田で見つめる、突然の変化への備え
相続や実家の整理の相談に関わっていると、家族の状況が予期せぬかたちで急変することの多さを実感する。誰かの病気、あるいは急な別れ。それはまさに、前触れなく降り出すスコールのようなものだ。それでも、そうした突然の変化に日頃から少しずつ備えておくことで、実際にその時が来たときの混乱を和らげることができる。「Squall」というタイトルの持つ、避けられない急変というイメージは、そうした人生の備えの大切さを、静かに思い出させてくれる。
両A面が示す、二つの表現
このシングルのもう一つのA面曲「HEAVEN」は佐橋佳幸の編曲によるもので、「Squall」とは異なる質感を持つ楽曲として並べられている。二つの楽曲を等しくA面として扱うという構成には、どちらの曲も単独で主役を張れるという作り手の自信が感じられる。「Squall」の激しさと「HEAVEN」の広がり、その対照的な二面性を一枚のシングルとして提示することで、当時の福山雅治が持っていた表現の幅広さが伝わってくる。長い年月を経てもなお、この両A面シングルが語り継がれているのは、単に片方の曲だけが突出していたのではなく、二つの異なる魅力が互いを引き立て合っていたからなのだろう。
参考リンク
- [1] Heaven/Squall - Wikipedia
- [2] HEAVEN/Squall | Sony Music Japan
- [3] 福山雅治、初のアジア公演レポート | Fanplus Music
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