ページ作成日: 2026年7月5日
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確認した動画: 福山雅治「心音」Special Movie(福山雅治 Official)

「心音(しんおん)」は、2020年11月9日にデジタルシングルとして先行配信され、同年12月8日発売の12作目のオリジナルアルバム『AKIRA』に収録された楽曲だ。日本テレビ系水曜ドラマ「#リモラブ〜普通の恋は邪道〜」(2020年放送)の主題歌として、制作陣からのオファーを受けた福山雅治が、脚本を読んだ上で主人公の心情に寄り添うかたちで書き下ろしたと伝えられている。作詞・作曲は福山雅治自身によるもので、アルバム『AKIRA』はオリコン・ビルボードジャパンの双方で初登場1位を記録している。

大石セレクション視点:歌詞がいい ★★★★☆

  • 曲がいい:★★★☆☆
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★★☆☆

選定理由:タイトルの「心音」という言葉に、福山雅治自身が「生まれたばかりの赤ちゃんの心臓の音」のような、か弱いが確かな命の息づきというイメージを込めたと語っている点に、この曲の核心がある。力強い「鼓動」ではなく、あえて繊細な「心音」という言葉を選んだセンスは、恋する心の生々しさと不安定さを描くうえで見事な比喩になっている。曲そのものも丁寧に作られているが、この言葉選びの繊細さこそが、ドラマの主人公の心情に寄り添うために書かれたという背景とあわせて最も語るべき部分だと感じ、歌詞を主視点に選んだ。

ドラマの心情に寄り添って書かれた主題歌

「心音」は、日本テレビ系水曜ドラマ「#リモラブ〜普通の恋は邪道〜」の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。制作陣からの依頼を受けた福山雅治は、実際にドラマの脚本を読み込んだ上で、主人公の恋愛観や心情に寄り添うようなかたちで詞と曲を作り上げたと伝えられている。単にタイアップ先の作品名を意識するのではなく、物語そのものに深く入り込んで楽曲を作り上げる姿勢は、長年数多くのドラマ主題歌を手がけてきた福山雅治ならではのアプローチだと言えるだろう。

「心音」という言葉に込められた意味

歌詞を丸ごと引用することは避けるが、タイトルである「心音」という言葉には、福山雅治自身の明確な意図が込められているとされている。生まれたばかりの赤ちゃんの、まだか弱く、しかし確かに刻まれている心臓の音。力強く脈打つ「鼓動」という言葉とは対照的に、繊細で生々しい響きを持つ「心音」という言葉をあえて選ぶことで、恋する心の不安定さや脆さを描こうとしたのだと考えられる。恋愛の始まりにある、まだ確信を持てないままの心の揺れを、生まれたての命の息づきに重ねる発想には、詩人としての福山雅治の感性がよく表れている。

アルバム『AKIRA』の中の一曲として

「心音」が収められたアルバム『AKIRA』は、福山雅治にとって12作目のオリジナルアルバムであり、全17曲を収録した力作だ。このアルバムはオリコン、ビルボードジャパンの双方で初登場1位を記録し、福山雅治のアルバム通算1位獲得数において、男性ソロアーティスト歴代1位タイの記録に貢献したと伝えられている。「心音」自体はオリコンデイリーチャートで2位、週間デジタルシングルチャートで4位程度の成績だったとされ、「桜坂」や「Squall」といった代表曲群と比べると、知名度としては中堅クラスに位置づけられる楽曲かもしれない。それでも、アルバム全体の高い評価の一角を担う楽曲として、確かな存在感を持っている。

映像作家・写真家との協働

この曲のジャケット写真は写真家の奥山由之、ミュージックビデオは映像作家の柿本ケンサク監督が手がけたという情報がある(一次資料での完全な裏付けまでは確認できていない点には留意したい)。もしこの情報が正しければ、それぞれの分野で高い評価を受けているクリエイターたちとの協働によって、この曲の世界観が視覚的にも丁寧に構築されていることになる。楽曲そのものの繊細さと呼応するような、静かで洗練された映像づくりが意図されていたのではないかと想像される。

脚本を読み込んでから書くということ

タイアップ曲を制作する際、アーティストによっては主題歌のイメージだけを伝えられて作曲するケースも少なくないが、「心音」の制作にあたっては、福山雅治自身が実際にドラマの脚本を読み込んだ上で執筆に臨んだと伝えられている。物語の設定やキャラクターの心情を深く理解した上で言葉を紡ぐという姿勢は、単なるタイアップ曲を超えて、その物語のためだけに用意された一曲だという説得力を生み出す。表面的なキーワードだけをなぞるのではなく、主人公がどんな気持ちでその恋と向き合っているのかを想像しながら書かれた歌詞だからこそ、「心音」というタイトルの選び方にも、確かな必然性が感じられる。

心の揺れを、肯定すること

東京で働いていた頃、恋愛においても仕事においても、常に確信を持って前に進まなければならないというプレッシャーを感じていた時期があった。だがこの曲を聴くと、確信の持てない、揺れ動く心こそが、生きているということの証なのだと気づかされる。生まれたばかりの命の心音が、まだ弱々しくても確かにそこにあるように、不安定な感情もまた、確かに生きている証拠なのだと思える。

磐田で聴く、か弱くも確かな命の音

介護の仕事を通じて、人の命の終わりに近い場面に立ち会うことがある一方で、地域の中で新しい命の誕生を見守る機会にも恵まれてきた。「心音」というタイトルが指す、生まれたばかりの命の息づきは、そのどちらの場面にも通じる、いのちそのものの尊さを思い出させてくれる。恋する心の揺れという個人的なテーマから始まったこの曲が、命そのものへの静かな敬意にまで広がって聴こえるのは、この言葉選びの深さゆえだろう。

デビュー30周年を経て、なお続く挑戦

「心音」が収められたアルバム『AKIRA』は、福山雅治がデビューから長い年月を重ねた末に発表された作品だ。すでに数々の代表曲、記録的なヒット曲を抱えるアーティストが、なお新しいドラマのために一曲を書き下ろし、丁寧に主人公の心情と向き合い続けているという事実に、キャリアの長さに安住しない誠実さが表れている。「心音」という繊細な言葉を選び取ったセンスも、長年の作詞・作曲の経験があってこそ磨かれたものなのだろう。派手な代表曲群の陰に隠れがちな一曲かもしれないが、こうして丁寧に紐解いていくと、そこには変わらぬ丁寧さと、新しい表現への探究心の両方が息づいていることに気づかされる。知名度の高さだけがその曲の価値を決めるわけではない。じっくりと背景を調べ、言葉の選び方に耳を澄ませることで、初めて見えてくる魅力を持った一曲として、この曲は静かに記憶に残る。

参考リンク

か弱くも確かな命の音があるように、家や土地にも、そこで育まれてきた確かな暮らしの記憶があります。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。