「ランデブーに逃避行」は、2018年10月17日発売のメジャーデビュー作、1stミニアルバム『ジェニーハイ』に収録された楽曲で、アルバム発売に先駆けて同年10月5日に先行配信が始まっている。今回参照した動画は、公式のミュージックビデオではなく、バンドにとって初めての夏フェス出演となった〈JOIN ALIVE 2018〉でのステージを収めたライブ映像だ。先行配信の開始と同時期にこの映像が公開されたことからも、フェス初出演という出来事がバンドにとって大きな節目だったことがうかがえる。
企画バンドから、フェスに立つバンドへ
ジェニーハイは、テレビ番組の企画として結成された経緯を持つバンドだ。そうした出自を持つプロジェクトが、実際に音楽フェスのステージに立ち、他の本格的なバンドと同じ舞台で演奏を披露するというのは、決して当たり前のことではない。〈JOIN ALIVE 2018〉での演奏は、まさにジェニーハイが「企画」から「実際に活動するバンド」へと足場を固めていく、象徴的な出来事だったと言えるだろう。この時期のメジャーデビューと合わせて、バンドとしての本気度が対外的にも示された瞬間だったのではないかと想像する。
逃避行というテーマ
歌詞を丸ごと引用することは避けるが、タイトルの「逃避行」という言葉が示す通り、この曲は恋から、あるいは何らかの現実から逃げ出したいという心理を描いていると考えられる。「ランデブー」というフランス語由来の言葉が「約束された出会い」を意味することを踏まえると、出会いそのものから逃げ出したくなるという矛盾した感情を描いているのかもしれない。誰かに会いたいという気持ちと、会うことへの恐れが同時に存在する。そうした恋愛特有の揺れ動きを、軽やかな言葉選びで表現しているのだろう。深刻になりすぎず、それでいて感情の核心を外さない絶妙なさじ加減が、この曲のタイトルの選び方にも表れているように感じられる。
フェスという場で鳴らされる音
スタジオ録音とライブ演奏では、同じ曲でもまったく違う顔を見せることがある。夏フェスという開放的な空間で演奏されたこの曲は、CDで聴くよりも荒々しく、熱を帯びた印象を持つのではないかと想像される。お笑い芸人であるリズム隊が、実際の観客の前で演奏を披露するというプレッシャーの中で、どのような表情を見せていたのか。そうした緊張感も含めて、このライブ映像は単なる曲の記録以上の価値を持っている。
初出演という記録の重み
ジェニーハイにとって初めての夏フェス出演という記録は、後年振り返ったときに、バンドの歴史の重要な一章として位置づけられるはずだ。2019年の『ジェニーハイストーリー』、2021年の『ジェニースター』、2023年の『ジェニークラシック』と、その後もアルバムを重ねながら活動を続けてきたこのバンドにとって、この2018年のフェス出演は、企画性の強い出自を持ちながらも、実際の音楽シーンの中に確かな居場所を築いていく、最初の足がかりだったのだろう。
ライブ映像だからこそ伝わるもの
公式のミュージックビデオではなく、実際のフェスでの演奏を収めたライブ映像をあえて公開するという判断には、作り込まれた映像美とは違う価値を伝えたいという意図が感じられる。カメラワークや編集で美しく整えられたMVとは異なり、ライブ映像には観客の熱気、メンバーの表情の変化、その場限りの空気感がそのまま記録される。お笑い芸人を含む異色バンドが、本物のフェスの舞台でどんな顔をして演奏していたのか。その素のままの記録こそが、このバンドの成長過程を追う上で欠かせない資料になっている。
逃げたいのに、逃げきれない気持ち
東京で働いていた頃、目の前の人間関係や責任から逃げ出したいと思いながらも、結局は逃げきれずにその場に留まり続けた経験がある。逃げたいという気持ちと、逃げられないという現実。その両方を抱えながら生きるしかない瞬間は、誰の人生にもあるはずだ。この曲のタイトルが描く「逃避行」もまた、本当に逃げ切れるかどうかわからないまま、それでも走り出さずにはいられない衝動を歌っているように感じられる。
先行配信とライブ映像を同時に届ける狙い
アルバム発売に先駆けて楽曲を先行配信し、それと同時にフェスでのライブ映像を公開するという展開には、一つの明確な狙いがあったのではないかと考えられる。CDやサブスクリプションで楽曲だけを聴かせるのではなく、その楽曲が実際にどのような熱量で演奏されているのかを、映像とセットで伝える。企画バンドという出自を持つジェニーハイにとって、こうした「本物のライブ活動をしている」という事実の提示は、リスナーの信頼を得る上で欠かせないプロセスだったのだろう。音源だけでは伝わらない説得力を、映像が補っている好例だと感じる。
磐田で思う、逃げずに向き合うこと
相続や実家の整理の相談を受けていると、問題から目を逸らし続けた結果、事態がより複雑になってしまうケースによく出会う。逃げ出したい気持ちは誰にでもあるが、いずれは向き合わなければならない場面が訪れる。企画として始まったバンドが、逃げることなく実際のフェスのステージに立ち続けた姿は、目の前の課題から逃げずに向き合うことの大切さを、静かに教えてくれる。
タイトルに込められた、フランス語由来の響き
「ランデブー」というフランス語由来の言葉を選んだセンスにも触れておきたい。単に「約束」や「デート」という直接的な言葉を使うのではなく、あえて外来語の持つ柔らかく洒落た響きを取り入れることで、恋愛の甘さと、そこから逃げ出したくなる矛盾した心理の両方に、独特の軽やかさを与えている。重くなりがちなテーマを、あえて洒脱な言葉選びで包み込む。そうしたバランス感覚も、この曲の魅力を支える要素の一つだと感じる。
参考リンク
- [1] ランデブーに逃避行 先行配信ニュース | OTOTOY
- [2] ジェニーハイ 関連ニュース | Billboard JAPAN
- [3] ディスコグラフィー | Warner Music Japan
逃げ出したい気持ちがあっても、いずれ向き合わなければならない時が来るように、家や土地の問題にも向き合うべき時があります。
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