2019年5月8日に配信限定シングルとしてリリースされた「ジェニーハイラプソディー」は、後に同年11月27日発売のフルアルバム『ジェニーハイストーリー』にも収録された楽曲だ。作詞・作曲は川谷絵音、編曲・トラックメイクには前作「ジェニーハイのテーマ」に続いてPARKGOLFが参加している。この曲では、メンバー全員による掛け合いのラップに加えて、振付家air:manによる振付のもと、全員が初めてダンスにも挑戦するという新機軸が打ち出された。
「全員ラップ」から「全員ダンス」へ
デビュー作『ジェニーハイ』の「ジェニーハイのテーマ」で、メンバー全員が初めてラップに挑戦したジェニーハイは、この「ジェニーハイラプソディー」でさらに一歩踏み込み、全員でダンスにも挑戦している。音楽家である川谷絵音や中嶋イッキュウはもちろん、お笑い芸人の小籔千豊やくっきー!、さらには現代音楽の作曲家である新垣隆までもが、振付家air:manの指導のもとダンスに取り組んだという事実は、このバンドが一貫して「新しい表現への挑戦」を活動の軸に据えてきたことを物語っている。
骨太なサウンドと、ユーモアの掛け合い
歌詞を丸ごと引用することは避けるが、この曲は前作「ジェニーハイのテーマ」で見せた掛け合いラップの手法を、さらに洗練させた形で展開している。音楽メディアの紹介では「思わず笑みをこぼしてしまうフレーズ」が散りばめられているとされ、シリアスになりすぎず、ユーモアを保ちながらメンバー同士の掛け合いを楽しませる構成になっている。PARKGOLFによるトラックメイクは「思わず首を振ってしまう骨太なサウンド」と評されており、前作からの経験を経て、より聴きごたえのある楽曲へと進化している。
air:manが手がけた、覚えやすい振付
振付を担当したair:manは、覚えやすさを重視した「非常にPOPな振付」を作り上げたと伝えられている。ダンス経験のないメンバーが多く含まれるバンドにとって、複雑すぎる振付では挑戦そのものが成立しない。誰もが真似しやすい振付を用意することで、視聴者が一緒に踊れるような親しみやすさを演出しているのだろう。プロのダンサーではないメンバーが、それでも一生懸命に振付をこなす姿そのものが、このバンドらしいエンターテインメントになっている。完璧な技術よりも、真剣に取り組む姿勢そのものが観客の心をつかむという事実は、音楽やダンスに限らず、あらゆる表現に通じる普遍的な真理なのかもしれない。
ラプソディーという言葉が示すもの
「ラプソディー」は本来、自由な形式を持つ叙事的・情熱的な楽曲を指す音楽用語だ。この曲のタイトルにその言葉が使われているのは、決まった型に縛られず、自由に表現の幅を広げていくというバンドの姿勢を象徴しているように思える。ラップに続いてダンスに挑戦するという展開そのものが、まさに「型にはまらない自由さ」を体現しており、タイトルの選び方にもバンドとしての矜持が感じられる。
デビューから続く、進化の軌跡
2018年のデビュー曲「片目で異常に恋してる」で確かな音楽性を示し、「ジェニーハイのテーマ」で全員ラップに挑戦し、そしてこの「ジェニーハイラプソディー」でダンスにまで表現の幅を広げていく。こうして時系列で振り返ると、ジェニーハイというバンドが一枚のアルバムごとに着実に新しい挑戦を積み重ねてきたことがよくわかる。2019年のフルアルバム『ジェニーハイストーリー』への収録は、この進化の過程を一つの物語としてまとめ上げる意味合いも持っていたのだろう。単発の企画に終わらせず、一歩ずつ表現の幅を広げ続けた軌跡こそが、このバンドの真骨頂だったのだと感じる。
不慣れなことに挑戦する勇気
東京で働いていた頃、専門外の仕事を任されて戸惑った経験がある。慣れないことに挑戦するのは、いつでも不安がつきまとう。だがこの曲を見ると、音楽家ではないメンバーまでもが真剣にダンスに取り組む姿から、不慣れなことへの挑戦を恐れない勇気をもらえる。うまくできるかどうかより、まず飛び込んでみることの大切さを、この曲は軽やかに教えてくれる。
企画バンドという枠を超えて
テレビ番組の企画として始まったバンドが、ラップに挑戦し、ダンスにまで挑戦し、そして実際のフェスの舞台にも立つ。ここまで表現の幅を広げ続けてきたことは、当初の「企画」という枠組みをとうに超えている証だろう。話題性だけを頼りに活動を続けるバンドであれば、こうした地道な挑戦の積み重ねは必要なかったはずだ。それでもなお新しい表現に挑み続けたジェニーハイの姿勢は、出自にかかわらず、本気で音楽と向き合う者だけが積み重ねられる説得力を持っている。
磐田で見つめる、新しい挑戦への一歩
介護や不動産の仕事の中でも、これまでの経験だけでは対応しきれない新しい課題に直面することが増えている。年齢や経験を重ねてもなお、新しいやり方を学び続ける姿勢が求められる場面は多い。異色の5人が、音楽もダンスも真剣に挑戦し続けてきた姿は、専門性の異なる分野でも、新しいことに挑む勇気を持ち続けることの大切さを、静かに思い出させてくれる。
「ハイ」という名にふさわしい高揚感
ジェニーハイという名前に込められた「天才を超えよう」という意味を思い出しながらこの曲を聴くと、ラップとダンスという二つの新しい挑戦を同時に成し遂げようとする高揚感が、バンド名そのものと重なって聴こえてくる。凡庸な選択肢に留まらず、少し背伸びをしてでも新しい表現に挑もうとする姿勢。それこそが「ハイ」という言葉に込められた気概であり、この曲はその気概を最も分かりやすい形で音とダンスに変換した一曲だと言えるだろう。
参考リンク
- [1] ジェニーハイラプソディー 関連記事 | Rolling Stone Japan
- [2] ジェニーハイラプソディー 関連記事 | Billboard JAPAN
- [3] ジェニーハイラプソディー 歌詞 | 歌ネット
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