ページ作成日: 2026年7月5日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=FEkgOG5lg7s
確認した動画: globe / Love again #ラヴ上等 主題歌 #BADLY_IN_LOVE(globe Official YouTube)

「Love again」は、globeが1998年3月31日に発表した12枚目のシングルであり、同時発売された3rdアルバム「Love again」のタイトル曲でもある。作詞を小室哲哉とMARC(MARC PANTHER)が、作曲・編曲を小室哲哉が手がけた[1]。この曲にはよく知られたエピソードがある。小室哲哉がロサンゼルスで曲の骨格となる歌詞とメロディを書き上げ、帰国した当日にKEIKOと合流してそのままスタジオに入り、10分から15分ほどで完成させたというものだ[1]。ヒットソングメーカーとして走り続けていた当時の小室哲哉らしい制作エピソードであり、瞬発力のようなものがそのまま曲の熱量に変換されている印象がある。オリコンでは9位を記録し、日本レコード協会からゴールド認定を受けている[1]。それから27年が経った2025年12月、この曲は思いがけない形でもう一度前面に出ることになった。Netflixの恋愛リアリティ番組「ラヴ上等」(英題:BADLY IN LOVE)の主題歌として起用されたのだ[2][3]。元暴走族総長や全身タトゥーの参加者たちが、山奥の「羅武上等学園」で14日間の共同生活を送りながら「失われた青春」と本当の愛を探すという企画で、プロデューサーのMEGUMIは選曲の意図について、「小室ファミリーが持っていた熱量」を呼び戻し、「30代以上の視聴者の青春のスイッチを強制的にオンにする」ことを狙ったと語っている[2]。番組はNetflixの週間TOP10(非英語シリーズ)に初登場で1位となり、日本のノンフィクション作品として初めて韓国の週間TOP10にも入るという反響を呼んだ[3][4]。今回取り上げるYouTube公式動画のタイトルには「#ラヴ上等 主題歌 #BADLY_IN_LOVE」という文言が加えられており、1998年のオリジナルMVが、この再起用をきっかけにあらためて多くの人の目に触れる状態になっていることがわかる。

大石セレクション:曲がいい ★★★★★

  • 曲がいい:★★★★★
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★★★☆

選定理由:この曲の強さは、何より「10分から15分で完成した」という制作エピソードそのものに表れている。飾り立てる時間がなかったからこそ、メロディの跳躍とサビの開放感が本能的な強度で残っている。歌詞にもMVにも語るべき魅力は十分にあるが、27年の時を越えて番組の主題歌に選ばれ、初見の視聴者にもすぐ刺さったという事実こそ、「曲そのものの力」が証明された何よりの証拠だと思う。だからこそ主視点は曲がいいに置いた。

ロサンゼルスとスタジオを往復して生まれた瞬発力

この曲を語るうえで外せないのが、あの制作エピソードだ。小室哲哉がロサンゼルスで書き上げた歌詞とメロディの骨格を持ち帰り、帰国したその日にKEIKOと顔を合わせ、そのままスタジオに入って10分から15分で仕上げたという[1]。これは美談として消費するにはもったいないほど、曲の構造そのものを説明している逸話だと思う。作り込む時間が長ければ長いほど曲が良くなるわけではない、ということをこの曲は教えてくれる。イントロのシンセが鳴った瞬間から、聴き手を迷わせない強さがある。Aメロで抑えた温度をじわじわ上げていき、サビ頭で一気に視界が開ける。この「開ける」感覚こそ、小室哲哉が量産していた数々のヒット曲に共通する骨格であり、Love againもその文法にきっちり則っている。ただし、この曲が単なる量産型のヒット曲と違って聴こえるのは、KEIKOのボーカルの乗せ方にある。抑制と解放の振れ幅が大きく、サビでの声の伸びが、コード進行の高揚感を裏切らない強さで応えている。ラップパートを担うMARC PANTHERの存在も大きい。歌とラップが交互に主役を張ることで、曲全体に一本調子にならない起伏が生まれている。3rdアルバム「Love again」は、globeの前作までの流れからすると一枚芯の通ったコンセプトを持つ作品だったとされ、失恋から立ち直っていくような曲が並ぶ中で、恋に前向きになる視点を持つ楽曲として位置づけられていたようだ[5]。その文脈の中で聴くと、この曲のメロディが持つ開放感は、単なる明るさではなく、傷を経たうえでの前向きさとして響いてくる。何度聴いても飽きが来ないのは、サビの跳躍が大きすぎず小さすぎず、口ずさみやすいギリギりのラインを保っているからだろう。イヤホンで聴くと、シンセのレイヤーが何層にも重なっていることに気づく。派手に主張する音はほとんどなく、それぞれの音が譲り合いながら空間を作っている。この譲り合いの感覚が、曲全体の風通しの良さにつながっている。

「もう一度」を歌う言葉たちと、番組が見出した意味

歌詞そのものを引用することは避けるが、タイトルの「Love again」が示す通り、この曲は一度終わった、あるいは傷ついた関係のあとに、もう一度誰かを好きになろうとする心の動きを描いている。過去の恋を全否定するのでも、美化するのでもなく、そこにあった痛みごと引き受けたうえで前を向く、という態度がこの曲の芯にあるように感じる。3rdアルバムの制作意図として、それ以前のシングルが恋愛に対してやや後ろ向きな視点を持っていたのに対し、このタイトル曲では恋に前向きな視点が打ち出されていたとする分析もある[5]。そう考えると、「Love again」というタイトルは、単に「また恋をする」という意味だけでなく、傷を負ったあとに「もう一度、信じてみる」という決意に近い響きを持っていたのではないか。この歌詞の余白の広さが、27年後にまったく違う文脈で再び選ばれる土壌になったのだと思う。Netflix「ラヴ上等」は、社会のレールから外れてきた男女が、過去の傷を抱えながら本当の愛を探すという企画だ[2]。プロデューサーのMEGUMIは、参加者たちの心情と歌詞がリンクするように、この曲を主題歌として選んだという[2]。つまりこの曲は、恋愛リアリティ番組を単純に彩るための懐メロとして呼ばれたわけではなく、「もう一度、愛を信じる」というテーマ自体が、番組の企画意図と重なったからこそ選ばれたのだろう。1998年当時、この曲を聴いていた人がそのまま30代・40代になった今、あらためて同じ曲を通じて「もう一度」という言葉に向き合うことになる。歌詞が持っていた普遍性が、時代を越えて別の物語と接続した、貴重な例だと思う。

27年前のMVが、いま新しい役割を担っている

今回取り上げているYouTube公式動画は、1998年当時に制作されたオリジナルのミュージックビデオである。タイトルには「#ラヴ上等 主題歌 #BADLY_IN_LOVE」というハッシュタグが加えられており、当時の映像がそのまま、2025年の新しい文脈のもとで再び多くの視聴者の入口になっていることがわかる[6]。ライブ版(globe tour 1998 "Love again")が音源としての熱量を体感させる作品だとすれば、こちらのMVは、あくまでスタジオ音源に寄り添う形で作られた、1998年という時代の空気そのものを閉じ込めた記録だと言える。番組をきっかけにこの曲を知った若い世代の視聴者にとって、このMVは「当時のglobeがどんな見た目と空気でこの曲を歌っていたのか」を知るほとんど唯一の窓になる。逆に、当時をリアルタイムで知る世代にとっては、MVを見た瞬間に当時の記憶が呼び覚まされるはずだ。曲や歌詞の強さがすでに証明されている一方で、このMVが果たしている役割は、「懐かしさ」と「初対面」という、本来交わらないはずの二つの感情を同時に成立させている点にある。番組の主題歌としてこの曲を耳にした人が、あらためてYouTubeでこのMVにたどり着いたとき、そこには27年前の映像がそのまま残っている。作られた時と、届く時のあいだにこれほど大きな時差がある例は珍しく、その時差自体が、この曲の生命力の証明になっている。ライブDVD版が持つ熱狂の記録とは違う、スタジオ制作物としての質感を保ったまま、この曲が今も現役で鳴り続けていることを、このMVはあらためて教えてくれる。

参考リンク

27年前の一曲が、今も誰かの記憶のスイッチを入れるように、家や土地にも、誰かが積み重ねた時間が残っています。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。