ページ作成日: 2026年7月5日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=HoV3sF1xhmo
確認した動画: globe / Perfume of love(globe公式YouTubeチャンネル)

「Perfume of love」は、globeが1998年10月7日に発表した16枚目のシングルである[1]。この年、globeは「BRAND NEW globe 4 SINGLES」と銘打ち、4枚のシングルを連続してリリースするという企画を走らせていた。「wanna Be A Dreammaker」「Sa Yo Na Ra」「sweet heart」に続く、その最終弾として世に出たのがこの曲である[2]。作詞は小室哲哉とMARC(マーク・パンサー)、作曲・編曲は小室哲哉が手がけた[3]。日本テレビ系土曜9時のドラマ「P.A.プライベート・アクトレス」の主題歌としてタイアップし、小室哲哉自身がドラマの劇伴も担当している[3]。4連続シングルの集大成として「売れ線を全開にした勝負曲」と評されるこの曲だが[2]、結果としてオリコン週間チャートでは2位にとどまった。1位の座を譲ったのはL'Arc〜en〜Cielの「snow drop」であり、4作の中で唯一1位を逃した作品でもある[1][2]。それでも売上は46.9万枚を記録し、1998年の年間シングルランキングでは56位、日本レコード協会からプラチナ認定も受けている[1]。そしてこの曲は、結果的にglobeにとって最後の大ヒット作となった。以降の作品では、この曲の売上の半分どころか、20万枚を超えるシングルすら出せていないという指摘もある[2]。4枚連続リリースという勝負の最終走者が、そのままグループのピークを刻む記録になった。そう思って聴くと、この曲に漂う緊張感の理由が、少しわかる気がしてくる。

大石セレクション:曲がいい ★★★★★

  • 曲がいい:★★★★★
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★★☆☆

選定理由:この曲の主役は、なんといってもイントロが場を支配してしまうあの緊張感だ。曲が始まった瞬間、まだ何も歌われていないのに、すでにこの曲の世界に引き込まれてしまう。焼け付くような熱と、凍りつくような冷たさが同居するサウンドは、レビュアーの間でも「洗脳力がある」と評されるほどの統率力を持っている[4]。それでいてサビはきちんとメロディアスで、聴きやすさを失っていない。この緊張と親しみやすさの同居こそが、4連続シングルの最終弾として「勝負曲」を任された曲の底力だと感じる。歌詞やタイトルの由来も十分に語れる強さを持つが、まず音そのものに支配される体験の強さで、主視点は曲がいいに置いた。

イントロが場を支配する、あの独特の緊張感

この曲を語るうえで欠かせないのが、イントロの存在感だ。あるレビューでは「イントロがかかった時点で既に場を支配している雰囲気」があると評され、それを「ラスボス感」という言葉で表現している[4]。大げさな形容に思えるかもしれないが、実際に聴いてみると、この表現がしっくりくる。音が鳴り始めた瞬間に、その場の空気が変わる。まだ歌が始まっていないのに、すでに何かが始まってしまっている感覚がある。同じレビューでは、この曲の質感を「焼け付く冷気や、凍てつく熱気感」という、一見矛盾した言葉で説明している[4]。冷たいはずのものが熱を帯び、熱いはずのものが冷えていく。この感覚のねじれこそが、Perfume of loveというサウンドの核にあるものだと思う。小室哲哉が手がけた編曲は、当時のglobeらしいダンスミュージックの骨格を保ちながらも、単純に高揚感だけを煽る作りにはなっていない。むしろ、聴く側の緊張を持続させるような、ある種の圧を伴うサウンドメイクがされている。それでいて、サビに入るとメロディはしっかりと開ける。緊張感を保ったまま、それでも口ずさめる強さのあるメロディラインが用意されている。この「閉塞感と親しみやすさの共存」こそが、この曲の一番の聴きどころだろう[4]。もし緊張感だけを追求していたら、この曲はもっと実験的で、大衆的なヒットには届かなかったはずだ。逆にメロディの親しみやすさだけを追求していたら、4枚目の勝負曲としての強度は出なかっただろう。両方を同時に成立させているところに、当時の小室哲哉の作家としての引き出しの多さを感じる。KEIKOのボーカルも、この緊張感のあるトラックの上で、芯のある強さを保っている。声を張り上げて押し切るタイプの歌い方ではなく、緊張したサウンドの中に自分の輪郭をきちんと保ちながら乗せていく歌い方だ。トラックとボーカルがせめぎ合いながらも共存している様子は、何度聴いても飽きが来ない。POPでありながらマニアックな作りも両立しているという評価があるが[4]、まさにその通りで、聴くたびに違う場所に耳が引っかかる。ドラマのタイアップ曲でありながら、いかにもなタイアップ感を感じさせない完成度の高さも特筆すべき点だろう[4]。4枚連続リリースという企画の最後を任されたプレッシャーの中で、これだけ緊張感と親しみやすさを両立させた曲を作り上げたことに、あらためて驚かされる。

「Perfume」に込められた「余韻」という意味

この曲のタイトルには、知っておくと聴き方が変わる背景がある。「Perfume of love」というタイトルは、マーク・パンサーが名付けたものだ[5]。「Perfume」という単語は、一般的には「香水」という意味で使われることが多い。しかしマーク・パンサーがこの言葉に込めたのは、香水そのものではなく「余韻」という意味だったという[5]。愛が過ぎ去ったあとに残る、香りのようにかすかで、それでいて消えない気配。それを「Perfume」という一語に託した。小室哲哉はこの命名について「そういうことがわかるようになってきたかな」と、マーク・パンサーの言語感覚の成長を評したという逸話も残っている[5]。この経緯を知ってから歌詞のテーマに向き合うと、見え方が一段深くなる。歌詞に丸ごと触れることはしないが、この曲が描いているのは、恋人との別れ、そこから生まれる喪失感、孤独、そして希望の間で揺れる心の叫びだと言われている[4]。当時のglobeの楽曲には、不倫や破局の気配をまとった作品が少なくなかったという指摘もある[6]。この曲もまた、単純な失恋の悲しみだけでなく、終わった関係の中に残るものを見つめる視点を持っている。「余韻」という言葉を軸に置くと、この曲が描いているのは、別れそのものの痛みというより、別れたあとにふと香ってくる記憶の方なのだとわかる。すれ違った瞬間の匂い、一緒にいた部屋の空気、もう会えない人の気配。そうしたものが、はっきりとした形を持たないまま、それでも消えずに残り続ける。タイトルの一語がそのまま歌詞全体の主題を先取りしているという構造は、シンプルでありながら効果的だ。歌詞のテーマ自体はglobeの他の楽曲とも重なる部分があるが、「余韻」という切り口を明確に立てたことで、この曲は感傷に流されすぎない芯を持つことができている。言葉数を尽くして説明するのではなく、香りという比喩ひとつに託す。その潔さが、この曲の歌詞の強さになっている。

4連続シングルの最終走者として、そしてピークとして

この曲を、単体の楽曲としてだけでなく、1998年のglobeの動きの中に置いてみると、また違う景色が見えてくる。「BRAND NEW globe 4 SINGLES」という企画は、短期間に4枚のシングルを連続してリリースするという、当時としても攻めた試みだった[2]。その最終弾として送り出されたのが、この「Perfume of love」である。企画全体を通しての「集大成的名曲」であり「売れ線を全開にした勝負曲」という評価があるように[2]、この曲にはシリーズの締めくくりとしての気合いが込められていたはずだ。結果はオリコン2位。1位はL'Arc〜en〜Cielの「snow drop」に譲ったが、それでも46.9万枚という数字を残し、年間シングルランキング56位、プラチナ認定という結果を得ている[1]。この数字だけを見れば、十分すぎるほどの成功だ。しかし、その後のglobeの歩みを踏まえると、この曲が持つ意味合いはもう少し複雑になる。この曲以降のシングルでは、売上がこの曲の半分にも届かず、20万枚を超えることすらなくなっていったという指摘がある[2]。つまり「Perfume of love」は、4連続シングル企画の最終走者であると同時に、結果的にglobeというグループの商業的なピークを刻んだ曲でもあったということだ。そう考えると、あのイントロの「場を支配する」緊張感や、焼け付くような熱と凍てつくような冷たさが同居するサウンドが、単なる音作りの狙い以上の何かに思えてくる。勢いのあった時代の最後の輝きを、曲自体がどこかで予感していたのではないか、とまで言いたくなる。もちろんそれは聴き手の後付けの解釈にすぎない。しかし、ピークの直前に置かれた曲には、しばしばそういう独特の緊迫感が宿るものだ。この曲がいまも色褪せずに聴けるのは、タイアップの流行や当時のヒットチャートの文脈を抜きにしても、音そのものが持つ緊張と解放のバランスが、時代を超えて成立する強度を持っているからだろう。公式チャンネルの映像で聴き返すと、当時の記憶がある人にはあの時代の空気ごと蘇ってくるし、初めて出会う人にとっても、イントロ一発で耳を持っていかれる強さは変わらず健在だ。

参考リンク

余韻として残り続ける記憶があるように、家や土地にも、誰かが暮らした時間の気配が残っています。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。