「FACE」は、globeが1997年1月15日に発表した8thシングルである[1]。フジテレビ系木曜劇場「彼女たちの結婚」の主題歌、NTT「まるちねっとフェア」のCMソングとして起用され、オリコン週間チャートで初登場1位を記録、前作「Can't Stop Fallin' in Love」に続く2作連続のミリオンヒットとなった[1]。作詞は小室哲哉とMARC、作曲・編曲・プロデュースを小室哲哉が手がけている[1]。この記事で取り上げる「20th Special Edit Version」は、その「FACE」を、デビュー20周年にあたる2015年、あらためて編み直した特別編集版である。2015年12月16日にリリースされたトリビュートアルバム「#globe20th -SPECIAL COVER BEST-」と同時期に、YouTubeとニコニコ動画で公開された[2][3]。1997年の東京ドーム公演「globe@4_domes」、2004年の東京国際フォーラム公演「globe decade -access best seasons 1995-2004-」、そしてシングル発売当時のテレビスポット映像。異なる時代に撮られた3つの映像が、ひとつの曲の中でつなぎ合わされている[3]。それは単なる懐かしい映像の寄せ集めではなく、「FACE」という曲が20年という時間の中でどう生き続けてきたかを、映像そのものに語らせる試みだったのではないか。
ミリオンヒットの根にあったもの
「FACE」がヒットした理由を、当時のセールス数字だけで語るのは簡単だが、それだけでは足りない。この曲には、小室哲哉が自らミキシングに手を入れたという制作上のエピソードが残っている[1]。もともと別のエンジニアがミックスを担当していたが、タイアップ先のテレビ局側から、当初提出していたデモテープに近い質感へ調整してほしいという要望が入り、小室哲哉自身が手を加えることになったという[1]。globeの楽曲としてはこれが初めての、小室哲哉自身によるミキシングだったと伝えられている[1]。デモの段階ですでに完成形に近い説得力を持っていたということであり、それは裏を返せば、小室哲哉の頭の中で鳴っていた音像と、曲そのものの骨格が、最初からかなり近い位置にあったということでもある。「FACE」を聴くと、イントロのアルペジオから曲の輪郭がはっきりと立ち上がる。ギター初心者向けの教室サイトがこの曲のイントロアルペジオを教材に取り上げているほど、シンプルでありながら耳に残るフレーズだ。そこから展開していくAメロ、Bメロ、サビへの流れは、押しつけがましい盛り上げ方をしない。派手な転調で聴き手を驚かせるのではなく、じわじわと熱量を上げていき、サビで一気に開ける。KEIKOの伸びやかな歌声と、MARC PANTHERのラップパートが、曲の中で役割を分け合いながら、全体としてひとつの物語のように機能している。1997年当時、globeはすでに「DEPARTURES」という金字塔を持っていたが、「FACE」はその後を継ぐ楽曲として、ミリオンヒットという結果を出しながらも、曲の作り自体は決して安易な二番煎じではない。むしろ、それまでのglobeサウンドの延長線上にありながら、テレビドラマの主題歌としての強度をきちんと持たせた、職人的な仕事だと感じる。何度聴いても飽きないのは、曲の骨格そのものがしっかりしているからだろう。
「彼女たちの結婚」と、女性たちの葛藤を歌う視点
「FACE」がタイアップしたフジテレビ木曜劇場「彼女たちの結婚」は、働く女性たちの生き方や結婚観を描いたドラマだった。この曲の歌詞に丸ごと触れることはしないが、その歌詞が向き合っているのは、誰かに気に入られるための「顔」ではなく、自分自身であろうとする意志のようなものだと感じる。当時、globe20周年を振り返る記事の中で、この曲が「女性の内面の葛藤をロックに描いた」楽曲として紹介されていたことも、その印象を裏づけている。恋愛の甘さだけを歌うのではなく、迷いながらも前を向こうとする感情の揺れが、サビの言葉選びに滲んでいる。1990年代後半という時代背景を踏まえると、この曲が投げかけていた「自分の顔で生きる」というメッセージは、当時の女性リスナーにとって、ドラマの物語以上に、自分自身の日常と重なる部分があったのではないか。歌詞が説明しすぎないぶん、聴く人それぞれの状況に合わせて意味が変わる余白がある。10代の頃に聴いていた人が、30代、40代になって聴き直したとき、また違う感情を受け取る。そうした聴かれ方の変化に耐えられる強度が、この曲の歌詞には備わっている。だからこそ★4という評価にとどめたのは、歌詞そのものの独自性や物語性が弱いからではなく、この記事の主眼が「20年後に編み直された映像」という切り口にあるためだ。歌詞の強さは十分に認めつつも、今回の記事全体としてもっとも語りたい核は、あくまで20周年という時間の重ね方にある。
20年後に編み直された時間 ―― Special Editが教えてくれること
「20th Special Edit Version」の最大の特徴は、新しく撮り下ろした映像を使っていない、という点にある。1997年の「globe@4_domes」というドーム公演、2004年の「globe decade -access best seasons 1995-2004-」というホール公演、そして発売当時のテレビスポット。すべてすでに存在していた映像素材を、20年という時間軸の中で再構成している[3]。これは、新曲のMVを撮るのとはまったく違う作業だ。過去の映像だけを使って、あらためて「FACE」という一曲の物語を語り直す。編集という行為そのものが、時間を圧縮したり、並べ替えたりする力を持っていることを、この映像は教えてくれる。1997年のドームでのパフォーマンスと、2004年のホールでのパフォーマンスでは、会場の規模も空気も違う。その異なる温度の映像を一つの曲でつなぐことで、「FACE」という楽曲が7年という制作当時からの時間の中でどう歌い継がれてきたかが、映像だけで伝わってくる構成になっている。この特別編集版が公開された2015年当時、globeはボーカルのKEIKOが療養を続けており、新しい活動を発表できない状況が続いていた。そうした中でのデビュー20周年は、新曲やライブという形ではなく、トリビュートアルバムというかたちで、これまでの航跡をたどり直すことでファンへの感謝を伝えるものになったと報じられている。「FACE」の20th Special Edit Versionも、その文脈の中に置かれた一本の映像だったと考えると、新しい何かを作るのではなく、すでにある時間を丁寧に編み直すことでしか伝えられない感情があったのだと感じる。ドラマ版のミュージックビデオが池田エライザの主演によって新しい物語を与えられているのに対し、こちらの20th Special Edit Versionは、実際に舞台に立ったKEIKOとMARC PANTHERの姿そのものを、時間を超えて重ね合わせている。過去の自分たちの映像を編み直すという行為は、単なる回顧ではなく、待っているファンに向けた、今できる精一杯の言葉だったのではないか。曲の強さを前提にしながらも、それをどう届け直すかという編集の視点にこそ、この映像ならではの価値がある。だからこそ、この記事ではMVがいいを主視点として選んだ。
参考リンク
- [1] FACE (globeの曲) - Wikipedia
- [2] #globe20th -SPECIAL COVER BEST- - Wikipedia
- [3] globe、「FACE」20th Special Edit Version公開! - iFLYER
20年前の映像を編み直すことで新しい意味が生まれるように、家や土地にも、積み重ねてきた時間の分だけ物語が残っています。
静岡県磐田市周辺で、相続した実家・空き家・土地建物の整理にお悩みの方は、富士ヶ丘サービスまでご相談ください。
