ページ作成日: 2026年7月5日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=ZXhDTCKH3qM
確認した動画: 浜田省吾「もうひとつの土曜日」WE ARE STILL ON THE ROAD.(浜田省吾 Official YouTube Channel)

「もうひとつの土曜日」は、浜田省吾のディスコグラフィーの中でも、派手なヒットチャートの記録よりも、ファンの間で長く愛され続けてきたことで語られる楽曲だ。この曲の収録アルバムや発売年については、参照した情報源の間でも表記に幅があり、正確な初出時期を一つに断定することは難しい。それでも「代表曲の一つ」として音楽配信サイトで紹介され、後年のベストアルバム『The History of Shogo Hamada "Since 1975"』にも収録され続けているという事実は、この曲がロングセラーとして扱われてきたことを物語っている。派手さより、じわじわと効いてくる説得力を持った一曲だ。

大石セレクション:曲がいい ★★★★☆

  • 曲がいい:★★★★☆
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★☆☆☆

選定理由:「土曜日は想いを寄せる人と会える特別な日。そんな一日を自分にくれないか」という願いを描いた歌詞は素直で美しいが、この曲の強さは何度も聴き返させるバラードとしてのメロディの完成度そのものにある。派手なサビでの盛り上がりより、じわりと胸に染み込むような旋律の運びが、長年ファンから支持されてきた理由なのだと思う。今回参照した動画は公式のミュージックビデオではなく、1998年から2001年にかけての長期ツアーの記録を編んだ映像作品「WE ARE STILL ON THE ROAD」からの一曲であるため、MVとしての評価は控えめにしている。それでも、ライブという場所で長く歌い継がれてきたという事実そのものが、この曲の強さを裏づけている。

特別な一日を、もう一度だけ

タイトルの「もうひとつの土曜日」は、想いを寄せる相手と会える、特別な意味を持った一日のことを指しているとされる。歌詞を丸ごと引用することは避けるが、そこにあるのは、平凡な一週間の中の、たった一日だけの特別さを願う、一途で控えめな恋心だ。派手な告白でも劇的な再会でもなく、「もう一度、あの土曜日をくれないか」という、ささやかで切実な願い。誰にとっても、忙しい日常の中でふと待ち望んでしまう特別な一日があるはずで、この曲はその感覚を、飾らない言葉ですくい上げている。

何度も形を変えながら歌い継がれてきた曲

この曲の収録アルバムや発売時期については、参照した情報源によって表記に幅があった。1985年発売のシングルという記録がある一方、1987年発売のアルバム『CLUB SURF & SNOWBOUND』にオリジナルバージョンが収録されているという情報や、1989年発売のアルバム『WASTED TEARS』にも別アレンジで収録されているという情報も見られる。長年活動を続けてきたアーティストの楽曲には、こうして複数のバージョン・複数の収録タイミングを経て、少しずつかたちを変えながら歌い継がれてきたものが少なくない。この曲もまた、一つの「決定版」に定まらないまま、様々な形でファンのもとに届けられてきたのだろう。初出の形からアレンジを変えて再録音されたり、時代の異なるベストアルバムに何度も収録されたりすることで、少しずつ聴かれ方が変化していく。一つの決まったかたちに固定されないまま、その時々のアレンジで歌われ続けてきたということ自体が、この曲がいかに息長く愛されてきたかを物語っている。派手な記録として語られることは少なくても、こうして地道に歌い継がれてきた曲にこそ、本当の意味でのロングセラーの価値があるのだと思う。ヒットチャートの順位や売上枚数だけでは測れない、聴き手の生活の中に静かに根を張り続ける曲というものが確かに存在する。この曲はまさにそういう性質を持った一曲であり、だからこそ何十年もの時を経て、今もこうして新しい聴き手のもとに届けられているのだろう。

「WE ARE STILL ON THE ROAD」というライブ記録

今回取り上げた動画は、2002年8月21日に発売された浜田省吾4作目の映像作品「WE ARE STILL ON THE ROAD」からのものである。この作品は、1998年から2001年にかけて行われた長期ツアー「ON THE ROAD 2001」のベスト映像と未公開映像で構成されており、全21曲というボリュームで、当時のライブの熱量を記録している。「MONEY」「J.BOY」といった代表曲と並んで、「もうひとつの土曜日」も収録されているという事実は、この曲がファンの間でライブの定番曲として長く求められ続けてきたことを示している。派手な演出のミュージックビデオがなくても、ステージの上で歌い継がれることによって、曲は生き続けていく。この映像は、その生きた証のようなものだと感じる。

待つことの美しさ

東京で働いていた頃、平日の忙しさに追われながら、週末だけを心待ちにしていた時期がある。特別な予定があるわけでもないのに、土曜日というだけで少し心が軽くなる感覚。この曲を聴くと、その頃の感覚がよみがえってくる。誰かと会えるという約束があるわけではなくても、「もしかしたら」という期待だけで、一週間を乗り越えられることがある。この曲が描いているのは、そうした、実現するかどうかもわからない小さな願いを抱きながら生きる、誰にでもある弱さと強さだ。

磐田で聴く、変わらない願い

磐田に戻ってからは、家族の相続や実家の整理といった相談を通じて、多くの人が「もう一度、あの日に戻れたら」という思いを抱えながら生きていることを知った。もう会えない人と過ごした、何でもない一日。もう一度あの土曜日をやり直せたら、という願い。この曲のタイトルは、そうした誰の心にもある小さな祈りと、静かに重なって聴こえる。特別なことが何も起きなかったとしても、そこに誰かがいてくれた一日そのものが、実は何よりも特別だったのだと、この曲を聴くたびに気づかされる。長く活動を続けてきたアーティストの楽曲が、初出の形から時代ごとに姿を変えながらファンの記憶の中に積み重ねられていくように、この願いの歌もまた、何度も歌い直されることで、聴き手それぞれの「あの土曜日」に静かに重なり続けてきたのだと思う。

参考リンク

もう一度戻りたい一日があるように、家や土地にも、大切な人と過ごした時間が刻まれています。

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書いた人

大石浩之。静岡県磐田市で、介護と不動産の仕事をしています。 若い頃に東京で過ごした時間、仕事の中で見てきた家族や街の記憶、 そして今暮らす磐田で感じることを、音楽をきっかけに書いています。

音楽は、過去の自分に会いに行くための入口です。 家や土地もまた、誰かの記憶が残る場所だと思っています。