ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=7gcCRAl58u4
確認した動画: 星野源 – SUN (Official Video)(星野源 Gen Hoshino公式チャンネル)

大石セレクション:曲がいい ★★★★★

  • 曲がいい:★★★★★
  • 歌詞がいい:★★★★☆
  • MVがいい:★★★★☆

選定理由:歌詞のテーマも公式MVのダンスパフォーマンスもそれぞれ高いレベルにあるが、この曲がまず体に届くのは、イントロのカッティングギターとドラムのハネ方が生む、70年代ソウル・ファンクを思わせるグルーヴそのものだ。意味を理解する前に体が動いてしまう強さは、曲そのものの構成力とアレンジの力に負うところが大きい。だからこそ主視点は曲がいいに置いた。

「SUN」は、2015年5月27日に発売された星野源の8枚目のシングルで、フジテレビ系水10ドラマ『心がポキッとね』の主題歌として書き下ろされた。星野源にとってキャリア初となる連続ドラマ主題歌だったと伝えられている。この曲を最初に聴いたとき、意味を追いかけるより先に体のどこかが勝手に動き出すのを感じた。難しいことは何も言っていないはずなのに、なぜか腰が揺れる。理由を説明できないまま、ただ楽しいという感覚だけが残る。そういう曲だった。ロッキング・オン・ドットコムのインタビューで星野源は、この曲について「理由なき生命力」というような話をしていたと伝えられており、あの体の反応は狙って作られたものだったのだと後になって知った。イントロのカッティングやドラムの跳ね方には70年代のソウルやファンクを思わせる響きがあり、聴くたびに体温の高い場所に連れていかれるような感覚がある。曲の仮タイトルが「SUN VILLAGE」だったこと、そこにお笑いコンビ・バナナマンの日村勇紀さんへ贈った誕生日ソングのメロディの一部が組み込まれていたことも、のちにラジオ番組を通じて明かされたという。友人を祝うための遊び心が、そのまま全国区のシングルの骨格の一部になっている。東京で働いていた頃、僕はこの曲をよく通勤中に聴いていた。仕事のすべてに理由を求めなければ気が済まない時期で、自分を問い詰め続けるうちに動けなくなっていた夜がある。「SUN」はそのころの自分に、理由なんてなくてもいい、ただ楽しいから体が動く、それだけで十分なのだと軽やかに教えてくれた曲だった。

台本と、友人への誕生日ソングから生まれた曲

『心がポキッとね』は阿部サダヲ主演のドラマで、そのために星野源は台本を読み込んだ上で楽曲を書いたとされる。ドラマの主題歌という仕事の依頼でありながら、出来上がった曲の中心にあるのは「深刻さ」ではなく「楽しさ」だった。真剣に向き合うことと重く構えることは、必ずしも同じではない。彼はドラマのために曲を書きながら、同時にラジオ番組『バナナマンのバナナムーンGOLD』で披露していた、日村さんの誕生日を祝う歌の断片をそこに重ねていた。仕事の依頼と友人への贈り物、本来なら別々の場所にあるはずの二つが一つの曲の中で自然に溶け合っている。義務として書かれたものではなく、身近な人を喜ばせたいという気持ちの延長線上に生まれた曲だったのだと感じると、仕事の成果物でありながら私的な温度を失っていないこのバランスこそが、単なるタイアップソング以上のものにしているのだと思う。

編曲には星野源自身に加えて岡村美央が名を連ねているとされ、ハマ・オカモト氏によるベースが躍動的なグルーヴを支えているという評もある。ドラムのスネアをわずかに遅らせて打つことでビートが後ろに引っ張られるように聴こえる、いわゆるファンク的な処理がなされているという指摘もある。この曲の強さは、技術的な説明を必要とせずに聴いた瞬間から体を動かしてしまうところにあるのではないか。

チャートの数字と、静かに広がっていった熱

「SUN」はオリコン週間シングルランキングで自己最高となる2位を記録したと伝えられる。爆発的な初速というより時間をかけて聴かれ続けた曲だったようで、ダウンロード数が積み重なり、2015年の終わりには年間を通じての人気を裏づける形でNHK紅白歌合戦に初出場するに至ったとも伝えられている。数字の細部は資料により表現が異なる部分もあり踏み込みすぎずに書いておきたいが、リリース直後の一過性のヒットではなく、じわじわと広まっていった曲だったことは間違いなさそうだ。派手に盛り上げて終わる曲ではなく聴くたびに新しい良さに気づかされる曲だからこそ、口コミのように時間をかけて多くの人に届いていったのではないか。

磐田で家や土地の相談を受ける仕事をしていると、すぐに結果が出るものと、時間をかけてようやく形になるものの違いを日々のなかで実感する。相続の手続きも空き家の整理も一朝一夕には進まない。何年もかけて、少しずつ関係者の気持ちが定まっていく過程を何度も見てきた。「SUN」がヒットチャートの中でたどった道筋を知ると、そういう仕事の時間感覚とどこか重なるものを感じる。急いで結論を出そうとせず、少しずつ広がっていくのを待つ。そういう態度が結果的に一番強い形として残ることがある。

理由を求めすぎない生き方

東京で働いていた頃、あらゆる行動に理由や目的を求められることに、次第に疲れていた時期があった。常に理由を探し続けることは、時に人を身動きできなくしてしまう。「SUN」が描く、理由なく盛り上がる感覚は、そういう息苦しさから解放してくれる、シンプルな救いだった。踊りたいから踊る、楽しいから楽しむ。そこに難しい理屈は必要ない。星野源自身が「壊れそうになりながらも必死に生きる人々が、すべてを忘れて楽しく踊りまくる姿を想像しながら作った」といった趣旨のコメントを残していたと伝えられているが、この言葉を知ってから、この曲がなぜ理由もなく体を動かしたくなるのか、少しわかった気がした。生きることそのものが時に理由を必要としないほど切実であるという前提から、この曲は生まれているのではないか。だからこそ聴く側も、余計な理屈を差し挟まずに、ただ体を委ねてしまえるのだと思う。この曲のグルーヴには、ホール&オーツやヤング・ラスカルズを思わせるブルーアイドソウルの響きがあるという指摘もあり、イントロのカッティングギターはディスコ的な軽やかさを持ちながら、サビに向かうにつれて視界が開けていくような構成になっている。

磐田で踊る、理由のない喜び

磐田で家や土地の相談を受けていると、答えを出す前に、まず理由や根拠を求めすぎて身動きが取れなくなっている方によく出会う。もちろん大切な決断には慎重さが必要だが、時には理屈より先に「そうしたい」という素直な気持ちを大切にすることも、良い結論につながることがある。「SUN」が教えてくれる、理由なく動く軽やかさは、そうした場面でも大切な指針になっている。この家に住み続けたいと思う気持ちに、明確な経済合理性の裏づけがなくてもいい。土地を手放したくないという感覚を、数字だけで説明できなくてもいい。そのことを、この仕事を通じて何度も教えられてきた。

家族で過ごす休日、子どもたちがこの曲をかけて、意味もわからないまま体を揺らしていることがある。歌詞の内容もドラマのタイアップという背景も知らないまま、ただ音とリズムに反応して笑っている姿を見ると、この曲が本来持っていた力の源に触れたような気がする。理由を後付けするのは、いつも大人の側だ。子どもたちは理由なんてものを最初から必要としていない。理由を探すことに疲れたときこそ、素直に体が動く方へ従ってみるのもいい。そのことを、この曲は10年以上経った今でも変わらずに教えてくれている。

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