2016年ごろにオファーを受けてから、星野源はしばらくの間、異なる方向性で構想を練っていたといいます。大長編シリーズに共通する要素を、複雑に、あるいは巧妙に歌で表現しようとしていたのかもしれません。けれど、なかなかうまくいかず、時間を置いた末に、素直に「ドラえもん」というテーマそのものを作ることに決めた。その瞬間、イントロのメロディが自然に思い浮かび、歌詞もすぐに出来上がり、わずか数週間で曲が完成したといいます。凝った工夫や複雑な仕掛けを求めて遠回りした末に、いちばんシンプルで、いちばん素直な答えにたどり着く。この曲の完成までの過程そのものが、ひとつの教訓のように響きます。
史上初、主題歌と挿入歌の同時書き下ろし
「ドラえもん」は、2018年2月28日にリリースされたシングルの表題曲です。『映画ドラえもん のび太の宝島』の主題歌として、B面の「ここにいないあなたへ」は同作の挿入歌として書き下ろされました。1つの映画のために主題歌と挿入歌の2曲を同時に手がけたのは、ドラえもん映画史上初めてのことだったといいます。この曲は、2019年10月5日から2024年11月2日まで、TVシリーズ『ドラえもん』のオープニング曲としても使用され、長期間にわたって多くの子どもたちに親しまれました。
星野源自身、幼い頃からドラえもんに親しんできた世代のひとりです。長年愛されてきたキャラクターへの主題歌を任されるというプレッシャーの中で、複雑な表現に走らず、最終的にシンプルな答えを選んだこと自体、この曲が長く愛され続ける理由になっているのだと思います。
複雑さより、素直さを選ぶ勇気
東京で働いていた頃、企画やプレゼンテーションで、あえて複雑な工夫を凝らして差別化を図ろうとする場面によく出会いました。けれど、振り返ってみると、最も評価された仕事は、たいてい素直でシンプルな核心を突いたものでした。凝った表現を追い求めることは、時に本質を見えにくくしてしまいます。「ドラえもん」という曲の完成までの経緯は、遠回りした末に、シンプルな答えの価値をあらためて教えてくれます。
複雑な工夫を重ねる前に、まず素直な気持ちに立ち返ってみること。この曲は、そういう創作の姿勢の大切さを、静かに示してくれています。
磐田で選ぶ、素直な答え
磐田で家や土地の相談を受けていると、複雑な制度や手続きに惑わされて、本当に大切なことを見失いそうになる場面によく出会います。難しい選択肢を検討し尽くした末に、結局いちばん素直な答えが、最良の解決策だったということも少なくありません。「ドラえもん」が教えてくれる、遠回りの末の素直さの価値は、そうした複雑な相談ごとに向き合う上でも、大切な指針になっています。
複雑さを追い求める前に、まず素直な気持ちに立ち返る。この曲を聴くたびに、そのシンプルな知恵を思い出させてもらっています。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、遠回りの末にたどり着いた素直さの記憶を読み直す場所です。
