ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=iW-jDqNE6M0
確認した動画: KREVA「タンポポ feat. ZORN」MUSIC VIDEO(KREVA本人公式チャンネル)

タンポポという花は、アスファルトの隙間からでも、力強く花を咲かせます。過酷な環境の中でも根を張り、綿毛となって風に乗り、また新しい場所で芽吹く。KREVAの「タンポポ feat. ZORN」は、そんな逆境の中でもたくましく咲く花の姿に、理想を語ることの意味を重ねた1曲です。「今だからこそ、あえて理想を語ろう」という思いを持って作られたこの曲は、現実が厳しいときほど、理想論を口にすることが難しくなるという逆説に、正面から向き合っています。グルーヴ感満載の力強いトラックに乗せて、2人のラッパーが理想を語り合う姿は、タンポポが逆境の中で花を咲かせる姿と、確かに重なって見えます。

2度目の共演として

「タンポポ feat. ZORN」は、2020年10月14日に配信限定でリリースされた楽曲です。この曲は、KREVAとZORNにとって2度目の共演でした。同年8月に発表された、ZORNからのラブコールに応える形で制作された「One Mic feat. KREVA」がまだ記憶に新しい中、今度はKREVAが客演にZORNを迎える形で、この曲が生まれました。ミュージックビデオは10月13日に公開され、監督はKREVA作品ではおなじみの映像作家、大喜多正毅が手がけています。地下空間での撮影という舞台設定も、この曲の持つ独特の緊張感と力強さを、視覚的に補強しています。

1度目の共演がZORNからのオファーで実現したのに対し、2度目はKREVA側からの招待で実現しました。互いに相手のフィールドに招き合うこの往復の関係性は、単発の話題作りではない、本物の信頼関係を物語っています。地下という閉ざされた空間で撮影されたこのMVは、理想を語ることの困難さと、それでも語り続けることの覚悟を、視覚的にも表現しているように感じます。

厳しい時代にこそ、理想を語る勇気

2020年という年は、多くの人にとって、先の見えない不安に包まれた時期でした。そういう時代には、理想を語ることが、どこか場違いに聞こえてしまうことがあります。目の前の現実に対処するだけで精一杯なときに、まだ見ぬ未来の理想を語る余裕などない、と感じるのは自然なことです。それでも、この曲はあえて、そういう厳しい時期にこそ理想を語ろうと呼びかけます。現実を無視した楽観論ではなく、厳しさを分かった上で、それでも前を向く言葉を選ぶ。この姿勢の強さに、私は心を打たれます。

東京で働いていた頃、業績が厳しい時期には、社内で理想やビジョンを語ることが、なんとなく憚られる空気がありました。目の前の数字を追うことに終始し、将来への夢を語る余裕を、誰も持てなくなっていました。けれど振り返ると、そういう厳しい時期にこそ、理想を語り合える仲間がいるチームは、最終的に困難を乗り越えていたように思います。タンポポが厳しい環境でこそ花を咲かせるように、理想もまた、厳しい時代にこそ、その真価を発揮するのかもしれません。

磐田で咲かせる、それぞれのタンポポ

磐田で家や土地の相談を受けていると、厳しい状況に置かれた家族ほど、未来への理想を語ることをためらう場面によく出会います。空き家の維持費に苦しみながら、それでも「いつかこの土地を活かしたい」という夢を語る方。相続の争いの中でも、「家族としてこれからも仲良くありたい」という理想を捨てない方。厳しい現実の中でも理想を語り続ける姿は、まさにアスファルトの隙間で咲くタンポポそのものです。

今だからこそ、あえて理想を語ろう。この曲のメッセージは、音楽の世界だけでなく、厳しい現実に向き合うすべての人への、力強いエールだと感じます。逆境の中でも花を咲かせる強さを、私もこの仕事の中で、これからも大切にしていきたいと思います。

ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、厳しい時代でも理想を語ってきた記憶を読み直す場所です。