ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=pjU8NM57zQU
確認した動画: KREVA「音色 ~2019 Ver.~」(Full Ver.)(KREVA本人公式チャンネル)

「音色」というタイトルには、単なる音楽の話にとどまらない、もっと広い意味が込められています。声の音色、街の音色、暮らしの中に潜む無数の音色。KREVAが2019年に、あらためてこの曲を歌い直したとき、そこには15年という歳月の中で磨かれてきた、音色そのものへの飽くなき探究心が表れています。ミュージックビデオの舞台となったロンドンの街を、KREVAがさまざまな「音」を探して彷徨い歩く様子は、この曲のテーマを見事に映像化しています。1つの曲を、何年も経ってから新しいバージョンとして歌い直すという行為には、その曲への尽きせぬ愛着と、まだ探求しきれていない何かがあるという、正直な告白が込められているように感じます。

ソロデビュー15周年イヤーの幕開け

「音色 ~2019 Ver.~」は、2019年1月15日に配信リリースされました。この曲は、同年9月8日に迎えるKREVAのソロデビュー15周年を記念した、9ヶ月連続リリース企画の第1弾として発表されたものです。原曲の「音色」は、もともとサンプラーを使って制作された楽曲でしたが、すでにバンド編成でライブ演奏として披露されていたため、その音源化が待ち望まれていました。今回の録音には、KREBANDのメンバーである柿崎洋一郎(キーボード)、紺田キヨノリ(ギター)、岡雄三(ベース)、白根佳尚(ドラム)に加え、金原千恵子のストリングスも参加しています。

ミュージックビデオは、ロンドンのリークストリート、リーデンホール・マーケット、テムズ川といった場所で撮影され、KREVAが街中を歩きながら、さまざまな「音」を探し求める様子が描かれています。海外での撮影という選択は、15周年という節目に、あえて自分たちの原点から離れた場所で、音色というテーマを見つめ直そうとする試みだったのかもしれません。

1つの曲を、何度も歌い直すということ

同じ曲を、何年もの時を経て、あらためて別のバージョンとして世に出す。この行為には、その曲がまだ完結していないという、作り手なりの実感があるのだと思います。「音色」という曲がバンド編成で生まれ変わったように、時間をかけて育て直された曲は、最初のバージョンとは違う輝きを放つようになります。KREVAが15年という節目に、あえてこの曲を選んだことには、音色というテーマが、彼の音楽活動全体を貫く、根源的な問いだったからではないかと思います。

東京で働いていた頃、同じ仕事に何年も向き合っていると、最初の頃には気づかなかった新しい側面が見えてくることがありました。同じ業務でも、経験を積むほどに、扱い方の解像度が上がっていく。「音色」という曲を、サンプラーの音源からバンド編成へ、そして15周年の節目に新たなバージョンへと進化させ続けるKREVAの姿は、同じテーマに繰り返し向き合うことの豊かさを教えてくれます。

磐田で探し続ける、それぞれの音色

磐田に戻ってきてからも、家や土地の相談という仕事を通じて、私は日々さまざまな「音色」に耳を澄ませています。相談者の言葉に込められた本当の気持ち、家族の間に流れる沈黙の意味。それらは、単純な言葉の意味だけでは捉えきれない、その人固有の音色を持っています。KREVAがロンドンの街で新しい音を探し続けたように、私もまた、この仕事の中で、まだ聞き取れていない音色を、これからも探し続けていきたいと思います。

1つのテーマに何度も向き合い、その都度新しい発見を重ねていくこと。この曲が15年の時を経てあらためて歌い直された経緯は、そうした継続の豊かさを、静かに教えてくれています。

ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、繰り返し向き合ってきたテーマの記憶を読み直す場所です。