「SMILE〜晴れ渡る空のように〜」は、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの在京キー局5局を中心に、全国114局の民放が参加した共同プロジェクト「一緒にやろう2020」の応援ソングとして、2021年7月12日に配信限定でリリースされた楽曲だ[1]。プロジェクトチームがテーマソングのアーティストを検討した際、「桑田さんしかいない」という声が多く上がり、彼が起用されることになったという[1]。
114局が同じ声を求めた、その理由
通常、テレビ局同士は互いに競合する存在であり、共同でひとつのプロジェクトに取り組むこと自体が異例だ。それでも「一緒にやろう2020」というプロジェクトのために、114もの民放局が手を組み、そのテーマソングのアーティストとして満場一致で桑田佳祐の名前が挙がったという事実は[1]、彼が持つ幅広い世代からの支持と、垣根を越えて人々をつなげる声の力を、何よりも雄弁に物語っている。特定の党派性や世代に偏らず、老若男女に届く歌声を持つアーティストは、決して多くない。
現代的なサウンドと、変わらぬメロディの説得力
この曲は、シンセサウンドとリズムトラックを大胆に取り入れることで、桑田佳祐のサウンドに現代的な感触をもたらしていると評されている[1]。長年第一線で活動を続けるアーティストの中には、時代に合わせて音作りを変化させることに慎重になる人も少なくない。しかし桑田佳祐は、新しい音楽的アプローチを臆することなく取り入れながら、それでもなお「桑田佳祐らしさ」を失わないバランス感覚を保ち続けている。この柔軟性こそが、彼を長く第一線であり続けさせている理由のひとつだろう。
垣根を越えるという、応援歌の本質
歌詞をそのまま引用することは控えるが、この曲が描いているのは、様々な立場や状況にある人々が、それぞれの垣根を越えて手を取り合おうとする姿だと感じている。「一緒にやろう」というプロジェクト名そのものが示す通り、この曲は誰か特定の対象に向けたエールではなく、より広く、社会全体に向けたメッセージとして作られている。そうした大きなテーマを扱いながらも、押しつけがましくならず、自然に心に届く言葉選びには、長年多くの人々の心情を歌にしてきた桑田佳祐の経験値が生きている。
民放共同企画という、異例の座組みが持つ意味
民放各局が普段の競争関係を越えて共同でプロジェクトを立ち上げたという事実そのものが、2020年前後という時代が、多くの人にとって困難な時期だったことを物語っている。そうした状況の中で、テレビというメディアが果たせる役割を模索し、その象徴として桑田佳祐の楽曲が選ばれた。この曲を聴くとき、私たちはただの応援ソングとしてではなく、あの時代にテレビ業界が何を大切にしようとしていたのかという記録としても、この一曲を受け取ることができる。
長年培われてきた、社会的な信頼という無形の資産
ひとつのアーティストが、これほど大規模な社会的プロジェクトの顔として選ばれるためには、単に楽曲がヒットしているというだけでは足りない。長年にわたって誠実に音楽と向き合い、時代の変化を経てもなお多くの人から愛され続けてきたという、積み重ねられた信頼が必要になる。桑田佳祐がこの役割を担えたのは、彼が単なる過去のヒットメーカーではなく、常に現在進行形で新しい音楽を発信し続けてきたからだろう。この曲は、そうした長年の積み重ねが、社会的な場面で結実した一例だと言える。
困難な時代における、音楽の役割
大規模な社会的プロジェクトの応援ソングという役割は、音楽が単なる娯楽ではなく、社会全体を鼓舞し、つなげる力を持つことを示している。困難な時代において、人々が求めるのは、複雑な理屈ではなく、シンプルで心に届く言葉とメロディーだ。この曲が持つ明るさと力強さは、まさにそうした時代の要請に応えるものだったのだろう。テレビ局という枠組みを越えて多くの人に届けられたこの曲は、音楽が持つ社会的な役割の大きさを、あらためて証明している。競合するはずのメディア同士が手を取り合ったという事実そのものが、あの時代の困難さと、それでも前を向こうとする社会全体の意志を象徴していたのだろう。
ラジオでのオンエアという、届け方の選択
この曲がレギュラーラジオ番組でオンエアされたという経緯も[2]、興味深いポイントだ。テレビだけでなく、ラジオという、より個人的でパーソナルなメディアを通じても届けられたことで、この曲は多くのリスナーの日常により深く入り込むことができたはずだ。移動中の車内や、家事をしながらの時間など、ラジオならではの生活に密着したシーンでこの曲に触れた人も少なくないだろう。テレビの映像とラジオの音声、それぞれ異なるメディア特性を活かして届けられたこの曲は、多様なライフスタイルを持つ人々に、それぞれの形で寄り添うことができた。
プロジェクト名「一緒にやろう」が体現する、連帯の精神
「一緒にやろう」というプロジェクト名そのものが、この曲全体を貫くテーマを端的に表している[1]。困難な時代において、一人ひとりが孤立するのではなく、共に手を取り合って乗り越えていこうとする姿勢は、単なるスローガンに留まらず、この曲の音楽的な構成や歌詞の随所にも反映されている。誰かひとりのヒーローではなく、多くの人々が共に声を合わせることの力強さを、この曲は体現している。連帯という言葉が持つ本来の温かさを、この曲は音楽という形で私たちに思い出させてくれる。この一曲が、これからも多くの人の背中をそっと押し続けるだろう。
参考リンク
- [1] SMILE〜晴れ渡る空のように〜 - Wikipedia
- [2] 桑田佳祐が「一緒にやろう2020」応援ソング"SMILE〜晴れ渡る空のように〜"であらゆる垣根を超えた - rockinon.com
- [3] 桑田佳祐「SMILE〜晴れ渡る空のように〜」歌詞 - 歌ネット
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