これ以上、切実に会いたいという思いが込められた手紙はない。MISIAがこの曲を作るにあたって訪れた知覧特攻平和会館で感じたという、この言葉の重みに、あらためて胸を突かれます。特攻に赴く前の兵士が、家族や恋人に宛てて書いた手紙。二度と会えないと分かっていながら、それでも会いたいと願う気持ちを綴った言葉に、MISIAは丸一日をかけて向き合ったといいます。「逢いたくていま」というタイトルの、ひらがなを多く使った柔らかい表記には、そうした切実な祈りが、静かに込められています。この曲がドラマの主題歌としての枠を超えて、時代を越えた普遍的なバラードとして愛され続けているのは、その根底に、命がけの願いが宿っているからだと思います。
9年2ヶ月かけて辿り着いた記録
「逢いたくていま」は、2009年11月18日にアリオラジャパンから発売されたMISIAの23枚目のシングルです。TBS系日曜劇場『JIN-仁-』の主題歌として、ドラマの主題歌依頼を受けたMISIAが制作しました。9枚目のアルバム『JUST BALLADE』の先行シングルという位置づけでもあります。興味深いのは、この曲が2019年1月にスローミリオンを達成したという記録です。発売から実に9年2ヶ月という歳月をかけて、じわじわとその評価と売上を積み重ねていったことになります。派手な即効性ではなく、長い時間をかけて多くの人の心に届き続けた曲であることが、この記録から見て取れます。
知覧特攻平和会館を訪れたきっかけは、鹿児島出身の仕事仲間からの勧めだったといいます。仕事の依頼をきっかけに、思いがけない場所を訪れ、そこで得た体験が楽曲に結実する。この曲の成り立ちは、創作というものが、意図的な計画だけでなく、偶然の出会いや体験からも生まれることを教えてくれます。
時間をかけて届く願い
東京で働いていた頃、すぐに評価されないものに焦りを感じていた時期がありました。けれど、本当に価値のあるものは、時間をかけて、じわじわと多くの人に届いていくこともあるのだと、この曲の記録が教えてくれます。9年2ヶ月かけてスローミリオンを達成したという事実は、即効性だけがすべてではないという、静かな励ましです。
磐田で受け継ぐ、切実な願い
磐田で家や土地の相談を受けていると、もう会えなくなった家族への、切実な思いに触れることがよくあります。特攻隊員の手紙が持っていた「これ以上切実な願いはない」という重みは、形は違えど、日常の中の別れや後悔とも、どこかで通じています。この曲を聴くたびに、会いたいと願う気持ちの重さを、あらためて思い出させてもらっています。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、切実に会いたいと願った記憶を読み直す場所です。
