ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=KKA-CL5QTYc
確認した動画: Nulbarich - A Roller Skating Tour (Official Music Video)(Nulbarich本人公式チャンネル)

ローラースケートというものは、止まっている状態がいちばん不安定です。滑り続けているときの方が、むしろバランスを取りやすい。この一見矛盾した性質は、走り続けることでしか自分を保てない人間の生き方そのものに重なります。「A Roller Skating Tour」というタイトルのアルバムを、活動休止を経験したNulbarichが世に出したことには、特別な意味を感じます。止まっている方が安全なはずの人生の中で、あえて滑り続けることを選ぶ。この曲が持つ軽やかなグルーヴには、止まることへの恐れと、走り続けることへの覚悟の両方が滲んでいます。

3年ぶりのアルバムが示した現在地

「A Roller Skating Tour」は、2023年12月20日にリリースされたNulbarichの5thアルバム『The Roller Skating Tour』に収録された楽曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。このアルバムは、前作『NEW GRAVITY』から約3年ぶりの作品でした。この曲は、アパレルブランド「GLOBAL WORK」のCMソングとしても起用されており、軽やかで開放的なサウンドが、多くの人の耳に届くことになりました。

3年という制作期間は、決して短くありません。バンドが長い充電期間を経て戻ってくるとき、そこには新しい方向性を模索する試行錯誤の時間が必ずあります。このアルバムのタイトルにローラースケートという、滑り続けることを前提とした乗り物の名前を選んだことは、Nulbarichがこの時期、止まることなく前進し続けることを、あらためて自らに課していたことの表れなのかもしれません。

滑り続けることで保つバランス

東京で働いていた頃、忙しさの中でこそ調子が良く、逆に休みが続くと、かえって心身のバランスを崩してしまう時期がありました。動き続けているときは目の前のことに集中できるのに、立ち止まった途端、抱えていたはずの不安や迷いが一気に押し寄せてくる。ローラースケートが止まった瞬間にこそ倒れやすくなるように、人もまた、動きを止めた瞬間に、本当のバランスの悪さと向き合わされるのかもしれません。

この曲が持つ軽やかな推進力は、そうした「止まることへの恐れ」を否定するのではなく、むしろ前向きな駆動力として肯定しています。走り続けることは、逃げることではありません。走ることでしか見えてこない景色や、保てないバランスが確かにあります。この曲を聴くと、立ち止まることを美徳とする風潮の中で、あえて走り続けることを選ぶ勇気を、思い出させてもらえます。

磐田で転がり続ける、それぞれのツアー

磐田に戻ってきてからの日々も、振り返れば、絶えず動き続けることでバランスを保ってきたように思います。家や土地の相談という仕事は、次々と新しい案件が持ち込まれ、立ち止まって考え込む余裕がないことも多くあります。それでも、その動き続けるリズムの中にこそ、自分なりの平衡感覚があるのだと感じています。

相談に来られる方々の中にも、大きな決断のあとに、あえて次の行動へとすぐに動き出すことで、心のバランスを保とうとする人がいます。立ち止まって考え込むことも大切ですが、時には、転がり続けることでしか見えない答えもあるのだと、この曲は教えてくれます。止まったら倒れる。それでも走り続ける限り、道は続いていきます。

ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、転がり続けることで保ってきたバランスの記憶を読み直す場所です。