スカイライン、空と地上の境界線。この言葉が指し示すのは、目に見える限界であると同時に、その先にまだ広がっている見えない世界の入口でもあります。Nulbarichの「Skyline」は、そうした境界線に立つ者の視線を歌った1曲です。手前にある確かなものと、その向こうにある未知のもの。この曲のサウンドは、都会的で洗練されていながら、どこか遠くを見つめるような広がりを持っています。地平線という、決して手の届かないはずの場所に向かって、それでも歩みを進めようとする意志。この曲を聴くと、目の前の景色だけに満足せず、その先を見ようとする気持ちの尊さを、あらためて感じさせられます。
TVアニメとリンクした新曲として
「Skyline」は、2023年10月4日に配信リリースされた楽曲で、TVアニメ『ミギとダリ』のエンディング主題歌として書き下ろされました。『ミギとダリ』は、双子の兄弟が1人の人格を演じて生きるという、アイデンティティをテーマにした異色の物語です。1つの体に2つの心が同居し、互いの境界線を意識しながら生きる兄弟の物語と、「Skyline」という、境界の向こうを見つめるこの曲のテーマは、絶妙にリンクしています。
アニメとのタイアップ曲は、時に作品の世界観に寄せすぎて、単独で聴いたときの強度を失うことがあります。けれどこの曲は、アニメの物語を知らずに聴いても、境界線というテーマそのものが持つ普遍性によって、独立した1曲としての説得力を保っています。自分と他者、内側と外側、見えているものとまだ見ぬもの。そうした境界を意識しながら生きることは、双子の兄弟に限らず、誰もが日々経験していることだからです。
境界線の向こうを見つめる気持ち
東京で働いていた頃、高層ビルの窓から見える地平線を、よく眺めていました。ビル群の向こうに広がる空との境界線は、いつも手の届かない場所にあるように見えました。それでも、その境界線を見つめること自体が、日々の閉塞感の中での、ささやかな救いになっていたように思います。まだ見ぬ景色があるという事実が、目の前の現実を耐える力を与えてくれていたのだと思います。
境界線というのは、越えられない壁ではなく、その先への想像力をかき立てる装置でもあります。「Skyline」というタイトルが持つ広がりは、まさにそうした、まだ見ぬものへの憧れと可能性を歌っています。目の前の現実だけに縛られず、その向こうにある景色を思い描く。この曲は、そういう想像力の大切さを、静かに教えてくれます。
磐田のスカイラインから見える景色
磐田に戻ってきてからも、遠州の広い空を見上げると、地平線がくっきりと見える瞬間があります。東京の高層ビル群とは違う、開けた景色の中での地平線は、また違う意味を持って迫ってきます。家や土地の相談を受ける仕事をしていると、目の前の問題の向こうに、まだ見えていない解決の糸口や、次の世代への可能性を思い描く場面が多くあります。境界線の向こうを見つめる想像力は、この仕事の中でも欠かせないものです。
「Skyline」を聴くたびに、目の前の景色だけに満足せず、その先にあるものを思い描く姿勢を思い出させられます。地平線は、いつも少し先にあり続けるからこそ、私たちを前へと進ませてくれるのだと思います。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、境界線の向こうを見つめてきた記憶を読み直す場所です。
