「VOICE」というシンプルなタイトルには、あらゆる表現の根源にあるものが凝縮されています。言葉を選ぶ以前に、まず声がある。JQのソウルフルな歌声は、Nulbarichというバンドの音楽性そのものを体現する楽器です。この曲を聴くと、歌詞の意味を追う以前に、声そのものの震えや温度に、まず心を掴まれます。時計のCMソングという商業的な文脈から生まれた曲でありながら、この曲が持つ普遍的な魅力は、まさに「声」というものが持つ、飾りのない説得力にあります。誰の声で語られるかによって、同じ言葉でもまったく違う重みを持つ。この曲は、そのことを静かに証明しています。
時計のCMソングから、アルバムの先行シングルへ
「VOICE」は、2018年11月21日に配信限定でリリースされた楽曲で、シチズンの腕時計ブランド「クロスシー」のCMソングとして起用されました。この曲は、その後2019年2月6日にリリースされたアルバム『Blank Envelope』の先行配信シングルという位置づけになっています。CMソングとして単発で終わるのではなく、アルバム全体を導く先頭バッターとして機能したこと自体、この曲がNulbarichの音楽性を象徴する1曲として、バンド自身に評価されていたことを物語っています。
時計というモチーフと「VOICE」という曲名の組み合わせは、興味深い偶然です。時計が刻む時間の中で、人はさまざまな声を発し、聞き、記憶していきます。CMのために書かれた曲でありながら、時間という普遍的なテーマと、声というこれもまた普遍的なテーマが、自然に響き合っているように感じます。
自分の声で語ることの大切さ
東京で働いていた頃、会議の場では、誰かの意見に同調することの方が楽で、自分自身の考えを声に出すことには、いつも勇気が必要でした。周りに合わせた無難な発言をすることと、自分の本当の考えを自分の声で語ることの間には、大きな隔たりがあります。「VOICE」というタイトルの曲を聴くと、その隔たりを越えて、自分の声で語ることの尊さを、あらためて思い出させられます。
誰かの言葉を借りて話すことは簡単ですが、それでは本当の意味で相手の心には届きません。JQの歌声が、聴く者の心を直接揺さぶるのは、そこに彼自身の実感がこもっているからだと思います。借り物の言葉ではなく、自分自身の声で語ること。この曲は、その表現の根源的な力を、シンプルなタイトルの中に込めています。
磐田で聴く、それぞれの声
磐田で家や土地の相談を受けていると、相談者ご自身の言葉で、本当の気持ちを語ってもらうことの大切さを、日々実感しています。家族や親族に遠慮して、本音を飲み込んだままの相談は、なかなか本質的な解決にたどり着けません。誰かの意見の代弁ではなく、自分自身の声で、本当に望んでいることを語ってもらう。そのお手伝いをすることこそ、この仕事の本質なのだと思います。
「VOICE」を聴くたびに、自分の声で語ることの力を思い出します。飾らない、まっすぐな声こそが、いちばん遠くまで届く。この曲が教えてくれるシンプルな真実を、これからも大切にしていきたいと思います。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、自分自身の声で語ってきた記憶を読み直す場所です。
