「That Summer」というタイトルには、現在進行形ではなく、すでに終わった過去の夏を指し示す響きがあります。土岐麻子の声は、そういう過ぎ去った季節を懐かしむ感情を歌わせると、格別の説得力を持ちます。真夏の熱狂そのものではなく、その熱狂が去ったあとに残る、少し乾いた寂しさと美しさ。この曲は、夏という季節が持つ二面性を、涼やかな声色で丁寧にすくい上げています。
『PASSION BLUE』が描く、都会の四季
「That Summer」は、土岐麻子が2019年10月2日にリリースしたアルバム『PASSION BLUE』に収録されている楽曲です。作詞を土岐麻子自身が、作曲・編曲をトオミヨウが手がけています。同アルバムは、シティポップ三部作の完結編として、都会に生きる人々の感情の機微を、季節の移ろいとともに描き出す作品でした。「That Summer」は、その中でも過ぎ去った夏という、少し切ない主題を担う1曲です。
終わったからこそ見える輝き
東京で働いていた頃、忙しさに追われている最中は、その季節の価値になかなか気づけないものでした。過ぎ去ってから、あの夏は良かったと、ようやく気づく。「That Summer」というタイトルが指し示す、すでに終わった夏を懐かしむ視点は、そういう人間の感情の仕組みを正確に捉えています。
磐田で振り返る、過ぎ去った季節
磐田で暮らしていると、季節の移ろいをより身近に感じます。過ぎ去った夏を惜しむ気持ちは、単なる感傷ではなく、その季節を丁寧に生きた証でもあります。「That Summer」を聴くと、過ぎ去ったからこそ美しく思い出せる季節があることを、あらためて思い出します。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、過ぎ去った季節の記憶を読み直す場所です。
