ページ作成日: 2026年7月3日
元にしたYouTubeリンク: https://www.youtube.com/watch?v=BxqYUbNR-c0
確認した動画: サカナクション / 忘れられないの -Music Video-(サカナクション sakanaction公式チャンネル)

1曲のミュージックビデオを、150回以上も作り直す。この事実を知ってから、この曲を聴く耳が変わりました。「忘れられないの」というタイトルそのものが、まるでこの制作過程を予言していたかのようです。妥協せず、納得のいく形に辿り着くまで、何度でも作り直す。そうして生み出された作品は、聴き手の記憶にも同じように、簡単には消えない強度を残します。80年代前半のカルチャーを徹底的に研究し、再現しようとしたこの曲は、単なる懐かしさの提供にとどまらず、その時代の空気を正確に切り取ろうとする、執念にも似た探究心の産物です。150回という数字は、決して誇張ではなく、彼らが「忘れられない」ものを作るために本当に必要とした回数だったのだと思います。

6年ぶりのアルバムから生まれた1曲

「忘れられないの」は、2019年8月21日にリリースされた楽曲で、6年ぶりとなるアルバム『834.194』(2019年6月19日発売)からのリカットシングルです。バンドとしては初となる8cmCDシングルでのリリースで、両A面シングルとしては「さよならはエモーション/蓮の花」以来となります。80年代の音楽・カルチャーに大きく影響を受けたこの曲は、あえて当時普及し始めていた8cmCDシングルの形態を選び、パッケージも縦型、各曲にカラオケバージョンを収録するなど、当時の流行を忠実になぞる作りとなっています。この曲は、SoftBank music projectのテレビCM「速度制限マン」篇のCMソングにも起用されました。

フォーマットからパッケージデザインまで、当時の様式を徹底して再現するというこだわりは、「新宝島」でドリフ大爆笑のオープニングを再現した姿勢とも通じるものがあります。サカナクションというバンドは、単に懐かしさを演出するのではなく、過去の様式を研究し尽くした上で、それを現代の作品として再構築することに、並々ならぬ情熱を注いでいるのだと感じます。

作り直す勇気

東京で働いていた頃、一度作った資料や企画書を、納得がいくまで何度も作り直す同僚がいました。周囲からは「もう十分では」と言われても、本人が納得できるまでは、決して手を止めませんでした。当時は非効率に見えたその姿勢が、実は最良の結果を生む唯一の方法だったのだと、今になって理解できます。150回作り直すという数字には、そういう、妥協を許さない誠実さが宿っています。

1回で満足せず、何度でも作り直す勇気は、時に周囲から理解されにくいものです。それでも、その先にしか辿り着けない完成度が確かに存在します。「忘れられないの」というタイトルが持つ強度は、まさにその、諦めない姿勢の産物なのだと思います。

磐田で作り直す、納得のいく形

磐田で家や土地の相談を受けていると、一度出した結論を、時間をかけて何度も見直し、家族全員が納得できる形にたどり着くまで、話し合いを重ねる方々に出会います。効率だけを考えれば、最初の案で決めてしまう方が早いはずです。それでも、納得のいく答えに辿り着くまで作り直し続けることでしか、本当の意味で「忘れられない」満足感は得られません。

150回作り直したというこの曲のエピソードを思い出すたびに、妥協せずに向き合い続けることの価値を、あらためて実感します。

ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、妥協せず作り直し続けた記憶を読み直す場所です。