「恋がどういうことか、確認せずに互いを察することだと思って作った」。Vaundy自身のこの言葉には、恋愛というものの本質を突く鋭さがあります。言葉にして確認し合うことは簡単ですが、確認しなくても伝わってしまう、あるいは伝わったと感じられる。そういう曖昧さこそが、恋の甘さでもあり、切なさでもあるのだと思います。「恋風邪」という言葉自体、恋を病に例える、日本語ならではの美しい比喩です。風邪のように、いつのまにか自分の中に入り込み、簡単には治らない。この曲のサウンドは、90年代のJ-POPを彷彿とさせながらも、Vaundyらしい今の感覚で仕上げられており、懐かしさと新しさが同時に押し寄せてきます。
ABEMA恋愛番組の主題歌として
「恋風邪にのせて」は、2022年3月7日に配信リリースされたVaundyの14枚目の配信シングルです。ABEMAの恋愛番組「彼とオオカミちゃんには騙されない」の主題歌として書き下ろされました。Vaundyは「サウンドは90年代のJ-POPをうまく今の時代に落とし込むことを意識して作った」と語っており、メロディも普段の作風とは少し違う感触に仕上がったといいます。2023年発売のアルバム『replica』にも収録されているこの曲は、ストリーミング累計1億回再生を突破し、自身8曲目のヒットとなりました。
あえて過去のサウンドの様式を今の時代に持ち込むという試みは、このサイトで取り上げてきたサカナクションの「新宝島」や「忘れられないの」とも通じるアプローチです。世代を越えて、過去の様式が新しい創造の源泉になり続けていることが分かります。
言葉にしない伝わり方
東京で働いていた頃、あえて言葉にせずとも、相手の様子から気持ちを察するというやり取りが、日常的にありました。すべてを言葉で確認しようとすると、かえって関係がぎこちなくなることもあります。「恋風邪にのせて」が描く、確認せずに互いを察するという恋の形は、そうした人間関係の機微を、的確に捉えています。
言葉にできない、あるいはあえて言葉にしない感情こそ、恋愛の中でもっとも大切な部分なのかもしれません。
磐田で察する、言葉にならない気持ち
磐田で家や土地の相談を受けていると、家族の間で、あえて言葉にされない気持ちを察することが求められる場面によく出会います。すべてを確認しようとせず、相手の態度や沈黙から本当の気持ちを汲み取ること。「恋風邪にのせて」が歌う恋の形は、そうした繊細なコミュニケーションの在り方にも通じています。
ATAWI MUSICは、音楽を消費するサイトではありません。曲をきっかけに、言葉にせずとも伝わってきた気持ちの記憶を読み直す場所です。
